第16話 勝利の後に次の戦いを!
「ヒロユキ、見事である。して、如何に門を開いたのだ?」
落城後、信繁と共に義信の元を訪れており、義信から好奇心旺盛な目で見られながら経緯を聞かれていた。
「これは奇策になるのですが・・・実は私は動物を操る事が出来るのです。」
「ふむ、そのような事が出来るのか?」
「はい、信じれぬかも知れませんが・・・」
そこで信繁が補足をしてくる。
「いや、ヒロユキは領内でイノシシを使って開墾をしていました。動物を使えるのは本当なのでしょう。」
「そうか、続きを頼む。」
義信は信繁の言葉を信じたようで続きを聞いてくる。
「はい、そして、今回、猿を使いコッソリ門を開けさせたというわけにございます。」
「なんと、猿が門を開けたのか!」
「はい、上手く行くかは自信が無かったのですが、成功して良かったです。」
「くくく、松平も猿が門を開けるとは思いもしなかったであろう。」
「ただ、この手は何度も使えないでしょう。今回の顛末を知る兵が話せば次回からは猿が近付くのを阻止する筈、今回だけの奇策にございます。」
「なるほど、よくわかった。此度の戦、そなたの功が第一である、しかと記録しておこう。」
「ははっ!ありがたき幸せ。」
俺は義信の所を後にする。
「ヒロユキ、見事だったぞ。」
「信繁さま、偶然の産物にございます。次にやれといわれても失敗するでしょう。」
「謙遜するな、お前なら他の手もあるんだろ?」
「一応は・・・」
俺が答えると信繁は嬉しそうな顔をしながら、
「怖い奴だな、味方で良かったよ。
さて、松平軍が近付いていると報告が来た。迎え撃つぞ。」
「はい、マサムネに頑張ってもらいましょう。」
俺は戦闘をマサムネに押し付けるつもりだった。
しかし、信繁には看破されており、
「マサムネに任せるのはいいけど、頭は使ってもらうよ。さて、どう戦う?」
「どうと言われましても、そうですね・・
折角、野戦に来てくれているのですから、後方を遮断して、元康を討ち取ってしまうとか。でしょうか?」
「どうして君はそうポンポンと策が出るのですかねぇ?しかし、面白い。どうだいいくらか兵をつけるからやってみるかい?」
信繁はあきれていたが、合理的と考えたのだろう、やるように言ってくる。
「言ってはみましたが、元康を討ち取れるかはわかりませんよ?」
「背後でも、側面でも突いてくれたら勝ちやすいからね。」
「わかりました、それならやってみます。」
「よし、して、何処を合流地とする?」
「豊川を渡り、背水の陣をしいてもらえますか?なるべく包み込むように鶴翼の陣で。」
「何?背水の陣だと?」
「ええ、向こうは策を弄する時間もないですしね、そして、私は豊川上流から渡り迂回して、後方から突くように動きます。上手くいけば松平家はこれで終わりでしょう。」
「・・・わかった、やってみよう。我が武田の力を見せてやる、ヒロユキ、遅いと私達だけで終わらすからな。」
「わかりました、では、私達はこれから出立します。」
「まてまて、お前達だけでは兵が足りんだろ、息子の信豊と真田信綱をつけるように頼んでくる。」
信繁は義信の所に行き作戦を説明。信豊と信綱を俺の下につけてくれた。総勢三千にもなった。
「では、行って参ります。」
俺達は合流するなり、出立していった。
なるべく早く、そして、戦場に間に合うように・・・
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