第14話 出陣前に

翌日、千の兵士があてがわれ、マサムネが訓練を行う事となる。


「俺がお前たちを現場で指揮する、立花マサムネだ、ただいきなり指揮官と言われても納得しないものもいるだろう。我と思う力自慢は出てこい、互いにどちらが上かわかったほうがやりやすいだろ?」

「いいのかい、指揮官さん?」

「かまわない、かかって来い。」

マサムネは力自慢を一人ずつねじ伏せていった。


「つ、つよい」

「他にいないか!」

「か、勘弁してください!」

「よし、ならば俺が指揮官と認めるな、」

「もちろんでさ。」

「よし、ならばこれより訓練を行う。ついて来れない奴は蹴り飛ばすから覚悟しておけ!!」

「ヒイィィィ!」

「返事は!」

「は、はい!」

「ならば、俺がいいと言うまで走り続けろ!」

「そんな!」

ガン!

文句を言った奴を蹴り飛ばす。

「やれ!」

「はい!」

マサムネの厳しい訓練で兵士達は絶対服従を植え付けられていった。



兵士はマサムネに任せて、俺は指揮官達と挨拶をする。

「ヒロユキ、こちらが甥の義信だ、今回の総大将になる。」

「これは義信様、お初にお目にかかります。武田信繁が臣、土御門ヒロユキにございます。」

「話は聞いているよ、君が信繁叔父上の重臣なんだってね。」

「今だ、何も成しておりませぬ、不才の身ではありますが、今後、粉骨砕身尽くさせていただきたく。」

「頼むよ、叔父上は腕を失ってしまったからね、本来なら休んでいただきたいのだが・・・

君には叔父上の代わりに頑張ってもらいたい。」

「はっ!」


話の区切りで信繁が、

「じゃあ、義信、次に挨拶に行かしてもらうよ。挨拶さしたい者がいるからね。」

「そうですね、ヒロユキ、機会があればまた話そう。」

「はっ!」

俺は信繁に連れられ挨拶に回る。


今回の陣容は、

総大将、武田義信

副将、武田信繁

軍目付、内藤昌豊

侍大将、飯富虎昌、三枝昌貞、真田信綱、多田満頼、武田信豊


俺は信繁に連れられ一人ずつ挨拶していく。

その中で武田信豊にあった時・・・


「父上、この者が父上の命を救ったものですか?」

「そうだ、信豊、見たところ歳も近そうだ、仲良くするのだぞ。」

「はい、ヒロユキ殿、私は武田信豊、父信繁の命を救っていただき感謝します。」

「これは若様にございましたか。私は土御門ヒロユキ、信繁様の家臣にございます。気軽にヒロユキとお呼びください。」

「ならば、私の事も信豊と呼んでいただきたく。」


「しかし、仕える家の若様にそのような口をきくのは・・・」

「かまわない、わたしなどまだ何も出来ない小僧だからね。ヒロユキには色々教えてもらいたいな。」

「私の方こそ皆様から過剰な期待をされて困っているのですよ。」

両者謙遜の仕合をしていると、何やらお互いに笑えた。

「ヒロユキ、今後とも頼む。」

「信豊、こちらこそ宜しく。」

笑った事で、なんとなく角がとれた気がした。

それからはお互いにタメ口で戦略について話し合う。

その様子を信繁は嬉しそうに眺めていた。

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