エイプリルフール一発ネタ

前書き

突貫工事になりましたが投稿します。


◆ 


 はっ!? 時空の乱れを感じる!? 宇宙の法則が乱れているぞ!?


 う、うん? はて? ここは俺の実家。今は春休み。そして俺はスーパーイケメン四葉貴明君。


 よし。よく分からんが起きよう。


「貴方、おはよう」


「おはようございますお姉様!」


 居間に行くと今日も変わらずスーパーウルトラプリティお姉様にあいてっ。でへへ。


「おはよう貴明」


「おはよう母ちゃん」


 はっ!? 実家にいるからついついお袋のことを昔の呼び方で呼んでしまった!


 まあそれはいい。


「えー。アメリカに行きたいと思います!」


 日の丸鉢巻きとはっぴを着ている親父がハイテンションでそんなことを宣った。ここ最近は常にハイテンションでビールガバガバ飲んでだから酔っぱらてるんだろう。


 だがこっちもいい。


 問題なのは……。


「おーうこの前ぶりだな」


「……」


「やあ貴明君。猫ちゃんズが優勝争いするときは気が向いたら応援すると約束していたんだが、そっちは一旦置いて地球一を決める決勝を応援しようかと思ってね」


「うむ」


 親父とお揃いのはっぴと鉢巻きを巻いているおじさん達だ。


 寝ぼけてるな。寝よう。そんじゃ。


「アメリカです。アメリカへ行くのですマイサン。日本代表、いや、猫ちゃんズメンバーがいるなら実質猫ちゃんズが地球ナンバーワンになるのを見届けるのです」


 俺の影からどろりと沸いて回り込む親父。大邪神からは逃げられない。


 そう、現在地球一野球大会が開催されており、なんと猫ちゃんズ、じゃなかった。日本代表チームは決勝にまで勝ち進んだのだ。そのせいでここ数週間親父のテンションは爆上がりで、ついには原初神ジャーまで出てきてしまった。


 野球地球ナンバーワンが決まる前に、地球さんそのものが木っ端みじんに消し飛んでしまいかねないんだけど……大丈夫ですかね地球さん? え?無理そう? ですよね。


「いや、俺とお姉様飛行機乗れねえし」


「パパが転移で皆を連れてくよ!」


 俺とお姉様は異能者だから飛行機に乗れないが、親父は堂々と不法入国かます気満々だ。まあ俺はしょっちゅうしているが。


「バレたら大事なんだけど」


「その辺は私が上手くやろう。人の認識を誤魔化したり色々とすれば大丈夫さ」


 バレたら国際問題待ったなしだが、【宙】さんがそう言うなら問題ないだろう。なにせ普段は寝ていようと全く衰えていない創造神級だ。言ったことがそのまま現実と化すレベルの相手に、バレませんかねなんて聞くのは全く意味のない問いだ。


「おっと。皆に一応言っておくけど神頼みはしないようにね!」


 親父がおじさん達に訳の分からんことを言っている。思考がそのまま結果に繋がりかねない創造神なんだから、単なる応援以上をしないよう言ってるんだろう。だが創造神級が神頼みって、その例えどうにかならんのか。


 まあ親父は猫ちゃんズの神とやらにしょっちゅうお祈りをしているが、野球に関して力を使ったことはない。そうでなければ暗黒期など訪れる筈がない。


「お前は猫ちゃんズの神に祈ってるだろ」


「……」


「つまり我々より上位の神ということか」


「冗談になっていないかもしれんな。なにせ【混沌】の信仰対象だ」


 【時間】さんが突っ込んで、【宙】さんと【火】さんが自分達より上位神である猫ちゃんズ神について討論を始めた。


 だめだ笑うな俺。宇宙空間にいる野球帽を被った猫が、原初神を肉球でどついてる光景を思い浮かべてしまった。少なくとも親父は耐えられないだろうし、なんなら這いつくばって拝みだすだろう。つまりこの世は猫ちゃんズ神が支配していた?


 いかん正気度がごっそり減った! 宇宙の真理を理解することはできない!


「じゃあアメリカでデートしましょうか」


「そうですねお姉様!」


 お姉様の提案で俺は正気に戻った!


 そうですよねお姉様! 折角アメリカへ行くならデートですよね!


「さあ行こう!」


 こうしてハイテンションの親父に連れられた俺達はアメリカの土を踏むことになった。


 どうもアメリカの皆さん。品行方正な俺とお姉様、お袋。そんでもって創造神級五柱がやってきましたよ。もし地球さんが心停止しても、この人達、っていうか神達ならどうとでもできるんで安心してください。でえじょうぶだ。


 そして地球ナンバーワン決定戦の試合結果は……。


 勝ったああああああああああああああああ!


 猫ちゃんズ、じゃなかった。日本が地球ナンバーワンだあああああああああああああ!










 ◇


 かつての報告書


 ■■■■年■■月■■日に行われたNO.Xに対するインタビュー。


 ■■■■ ご趣味をお伺いしてもよろしいですか?


 NO.X 野球観戦ですね! いやあ本当に好きで、よく観戦しに行ったものですよ! 贔屓の球団は勿論猫ちゃんズです! ■■■■さんの贔屓球団はどこですか?


 ■■■■ 申し訳ありませんがお答えすることはできません。


 NO.X それは残念! あ、一応言っておきますけど猫ちゃんズが優勝するために自分がなにかをやったりはしませんよ? それは一生懸命やってる選手の皆さんへの冒涜ですからね。だから一喜一憂しながら一ファンとして応援する所存です!


 ■■■■ 一応の確認なのですが、優勝した場合はどうされます?


 NO.X 大阪へ向かいます!


 ■■■■ い、今なんと?


 NO.X 勿論大阪へ行って皆と喜びを分かち合います!


 ■■■■ ちょ、ちょっと待っていてください!


 ◇


 NO.Xの野球観戦に対する報告書。


 複数のインタビューからNO.Xが猫ちゃんズを応援していることが確定しています。また、野球中継がある日は必ずNO.Xの野球観戦を許可してください。


 観戦中のNO.Xはどこからともなく猫柄のはっぴと鉢巻きを取り出して着用しますが、このアイテムに異常は一切検知されていません。


 また、缶ビールを必ず準備しておくこと。


 猫ちゃんズの打者がホームランを打った際、得点が入った際、NO.Xは非常に興奮します。またその逆で三振、見逃し三振、ダブルプレーでのアウトなどの場合は非常に落胆します。


 猫ちゃんズの投手が三振を取る、打ち取る、ダブルプレーが起こった際、NO.Xは非常に興奮します。またその逆で相手チームに得点が入った際、NO.Xは非常に落胆します。


 ◇


 猫ちゃんズ優勝シナリオ。


 猫ちゃんズが優勝した場合、何らかの強力な力がNO.Xより発せられる可能性があります。


 猫ちゃんズの優勝、もしくは最下位が世界崩壊のきっかけになる可能性があります。しかしながら、NO.Xの猫ちゃんズと野球界に対するスタンスの関係上、猫ちゃんズのドラフト、移籍などへの介入を一切行うことはできません。


 また、優勝した際は施設から大阪に向かうと宣言しており、それを食い止めるためあらゆる手段を準備する必要があります。


 万が一の場合は■■■付近を徘徊、もしくは飛び込みを行っていないかの確認が必要です。




 言っておくが冗談でもエイプリルフールでもない。

 源義道

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る