ほ ほ ほ

(怪談えほん応募作品)

ほ　ほ　ほたる　こい

とびかう　ちいさな　ひかり

ふわり　ひらり　はらり　

ちからづよく　ひかって

そっと　きえて

また　ひかる

ほ　ほ　ほたる　こい

ほたるを　おいかけて

かわを　くだって

てを　のばして

ふわり　ひらり　はらり

ゆびのすきまを　すりぬけて

ふっと　きえて

また　ひかる

ほ　ほ　ほたる　こい

ほたるを　つかまえたくて

ほたるを　おいかけて

だいぶ　とおくまで　きていて

きがつけば　そこらじゅうに　ほたる

ほたる　ほたる　ほたる

ちかくにいた　ちいさなこが　むじゃきなこえを　あげた

「ねぇ　ほたるって　なんで　ひかるの？」

「ひとのこを　まどわすためだよ」

「まどわして　どうするの？」

「ほら、みてごらん」

ゆかたのおやこが　こちらをゆびさしていた

ほたるが　そこらじゅうに　たくさんいる　こちらを

おやこを　みた

おやこは　ゆかたをきて　たって　こちらをゆびさしていたけれど

かおは　ひと　では　なかった

「ほら　みてごらん　ほたるが　たくさん　あつまってくる」

ほたるが　ふくに　てに　あしに　あたまに　からだじゅうに　とまっていた

ひかって　きえて　またひかった

ほたる　だと　おもって　いた

ちいさなからだ　おおきならんくいばのはえたくち　ひかるおしり

みたことがない　むし

みたことがない　ほたる

ほたるじゃないかもしれない　ほたる

「ほらね　ああやって　えさをとるのだよ」

ゆびさきが　みみが　あしが　かおが

たべられていく

ほたるに　たべられていく

ふわり　ひらり　はらり

およぐ　てが　ほたるを　おいかける

ふわり　ひらり　はらり

にくのすきまを　すりぬけて

ふっと　きえて

また　ひかる

ほ

ほ

ほ

た

る

こ

い