さまさま

(怪談えほん応募作品)

ぼくのうちには　にんぎょうがある

コワイカオした　ブシのにんぎょう

なんとかさま　ていう　ブシのにんぎょう

なんとか　のところが　おぼえられなくて

さまさまってよんでる

カオのはんぶん　ヒゲで

カミはながくて

ヨロイをつけてて

目はこーんなつりあがってて

口はへのじ

ヤリをもってて

えばってる

ぼくが　ねつでも

だそうものなら

コイツが　とんできて

おおごえで　おこる

いってることは　わからないけど

おおきなこえで

カミナリみたいな

おおきなこえで

ドンガラピッシャーンて

おおきなこえで

ずっとずっと

おおきなこえで

ないて　あやまっても

おおきなこえで

ないて　にげても

おおきなこえで

ずっとずっと

ドンガラピッシャーン

おかあさんは

コワイユメだねって

おとうさんは

クスリのせいかなって

みえない　みれない

しんじてくれない

ここにいるのに

ここで　おこってるのに

こんなに　おこってるのに

きづいてくれない

ぼくは

だから　ぼくは

もう　あかちゃんじゃないから

なくのを　やめた

コワイカオのにんぎょうは

おおきなこえでなくても

コワイカオだけど

だ　け　ど

ぼくは　もう　あかちゃんじゃないから

コワイカオのにんぎょうを　ゴミにだした

もう　こわくないから

コワイカオのにんぎょうとの　たたかいに　ぼくは　かった

もう　ぼくは　だいじょうぶ

おかあさんは　きづかない

おとうさんも　きづかない

コワイカオのにんぎょうが　いなくなったけど

だれも　きづかない

コワイカオのにんぎょうが　いなくなった　よる

ぼくは　ネツを　だした

ネツは　いつもより　たかくて

でも　アイツは　こない

もう　こわくない

こわくないから　だいじょうぶ

だいじょうぶなはずなのに

ぼくの　からだ　ヘンなムシが　かじる

からだじゅう　ヘンなムシが　かじって　かじる

ヘンなムシはどんどんふえて

ぼくの　からだを　うめつくす

ぼくのみぎあしは　もうなくなりそう

ぼくのひだりては　もうなくなりそう

ぼくのおなか　ぼくのみみ　ぼくの……………

さまさま　たすけて

さまさま　たすけて

さまさま　さまさま　さまさま…………