第7話「効率重視! フリーダムな実践(実戦)授業!」
――と、ほかの生徒たちも俺のところへやってきた。
「先生ー! 俺たちの契約解除と才能開花もお願いします!」
「先生! わたしたちも強くなりたいです!」
やっぱり若い魔法使いにとって強い魔法を使えることが一番の喜びだろう。
ほかの生徒たちにサキとミナミほどの才能はないが、魔力循環を使えば格段に魔力をアップさせることはできる。
「よし、じゃー、並べ。ただ、個人差あるから、みんなが英雄級の魔法使いになれるわけじゃないからな? それでも今までの三倍以上はいけるが」
これでこの学園の生徒たちだけでもとんでもない戦力になる。
ひとりで無双する楽しみは減るが育成するのも面白そうだ。
というか、さすがに100回世界を救ったので、正直、飽きてきた面もあった。
「三倍もありゃ十分すぎるぜ!」
「これで僕たちも戦力になれるんだ!」
「よっしゃー! やってやるぜ!」
なかなか前向きな生徒たちだ。
やはり行使に時間のかかる古典魔法を使うことへの不満があったのだろう。
俺は、ひとりひとりの潜在能力を最大限引き出してやった。
そして、次にやることと言えば決まっている。
「よーし! おまえら,好き放題俺に向かって魔法撃っていいぞー! ぜんぶ受け止めてやる!」
俺は校庭のど真ん中に移動して仁王立ちすると、生徒たちに大声で呼びかけた。
「「「うぉおおおおーーーーーーーーーーーーーー!」」」
俺の声を受けて生徒たちのテンションが上がっていった。
さながら野外ライブ会場だ。
「センセー! あたしもまた撃っていいですかーーー!?」
サキが手をブンブン振りながら訊ねてくる。
その隣ではミナミが困惑したように盛り上がる生徒たちを見ていた。
「おー! いいぞ、サキ! 全力で撃ってこーい! あと、ミナミ! おまえも遠慮せず撃ってこい! 魔法はどんどん使わないと強くならないぞ!」
校長がまだなにか抗議しようと口を開きかけたので、サクッと魔法を行使して究極鬼畜難易度のセクシーダンスを踊らせておく。
「よーし! 撃って撃って撃ちまくっていいからなぁーー! 俺を殺す気で撃ってこーい!」
俺は満面の笑みで観客(生徒)たちに呼びかける。
さあ、ショーの始まりだ!
「センセー! これからも、よろしく、お願いしまぁーーーすっ!」
まずはサキが超強力な極大雷性魔法をぶっぱなしてきた。
いきなり攻城戦用レベルどころか都市ひとつ壊滅させるレベルだ。
覚醒しすぎだろ!
「でも、余裕なんだけどな」
伊達(だて)に百回世界を救ってない。
「防御魔法・二式」
両手をかざして、バリアを展開する。
こちらもちょっと踏ん張らないと押されそうな勢いだ。
「おぉお、いい威力だ! こりゃ、今後が楽しみだ!」
やっぱり、サキにとっては魔導書が足枷になっていたということだろう。
続いて、ほかの生徒たちが魔法をぶっ放してきたが……不発も多かった。
神との契約解除直後ということで、うまく魔法を行使できていないようだ。
それでも、ミナミを始めとして何人かはしっかりと魔法を撃ってきた。
結局、ミナミもなんだかんだでこの練習に参加してくれたのだ。
「おお、さすがミナミは魔法のコントロール能力が高いな! 魔導書がなくても、ちゃんと強力な魔法を撃ててるじゃないか!」
ミナミの魔法は、それなりの威力があった。
本来の力からすれば、まだまだこんなもんじゃないのはわかる。
「あなたって人は! こうなったら、わたしが魔導書を創れるようになるまで徹底的につきあってもらいますからね!」
ミナミは、さらに二撃目を放ってきた。
今度は格段に威力が上がっている。
「やっぱりセンスがいいな! それに技術力も高い!」
こんな強力な魔法を撃てるんなら神との契約なんていらなかった。権威とかそんなつまらないもののために子どもたちを束縛することほどバカらしいものはない。
「不発だった奴も諦めずにどんどん挑戦しろ! やってるうちに上達して撃てるようになるから!」
魔法の上達には「信じる」ことが一番大事だ。
だから、神や魔導書を信仰することが近道でもあった。
だが、自分自身を信じさえすれば自由自在に魔法を使うことができるのだ。
「ほら、自信を持って撃ってこい! 失敗してもいい! 何度でも撃ちまくれっ! おまえたちは最高の魔法使いだ!」
俺は生徒たちを鼓舞して、ガンガン魔法を撃たせた。
やはり座学よりも実践のほうが楽しいのか生徒たちはイキイキとしている。
「な、なんということだ……こんなもの、授業でもなんでもないではないか……」
究極鬼畜難易度のセクシーダンスを踊らされながら校長は愕然とした表情を浮かべてつぶやいていた。
「いいんだよ、これで。楽しくないと上達しないだろ? それに頭で理論を覚えるより体で魔法を覚えさせたほうが上達が早い。魔導理論なんて魔導大学の暇な教授にでもやらせておけ。そもそも古語で学ぶ意味なんてないからな! 効率重視だ!」
ゲーム感覚で学べるなら、それに越したことはない。
それに俺が座学を教えること自体、そもそも向いてないしな。
ともあれ、俺は授業時間の全部を使って生徒たちに魔法を使わせることにした。
途中で魔力量が尽きて欠乏症になっても俺の魔力を使って回復させればいいし、もし魔法が暴発して怪我しても瞬時に回復させられる。
俺の豊富な魔力量があってこそ、成り立つ授業でもあった。
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