第3話 あのときの願いごと?
頭をベッドの縁に強かに打ち付けた。
そのとき思い出した。
男性にもてたい。
女神にそう願ってしまった自分を。
あのときの願いごとを覚えている。
ただ次の生では少しでもモテたかっただけだ。
しかし、これは自分が招いたことだったのか。
悲しいことに自覚した。
あのとき、ああ願った自分を殴りたいとまで思った。
俺は男性に押し倒されていた。
「あああああーーーーっっ」
叫び声をあげて、目が覚め飛び起きた。
ベッドの横にいたレイが驚いた顔を俺に向けた。
が、すぐ顔を暗くして俯いた。
「ごめん」
レイが何に対して謝っているのか、しばらく判断できなかった。
「ああ、、、イタタタ」
俺は後頭部の痛みに手でさする。タンコブができている。
木製のベッドの縁に強打したせいである。
俺の衣服は倒されたときそのままだ。脱がされてはいない。貞操は守られている。
さすがにレイは気を失った相手にする鬼畜ではなかったらしい。
彼の柔らかい短めの金髪が揺れる。
ベッドの横で小さくなっている、俺より身長の大きな男はレイ。成人後、家を出た俺は冒険者になった。その仲間の一人が彼だ。
厳つい大剣を背負っていながらも、彼の容貌の良さから女性の人気も高く、冒険者として男性からの人望も厚い。
そんなヨリドリミドリな彼が何で俺に告白してくるのかさっぱりわからない。
サッパリワカラナカッタ。
押し倒されるまで。
絶対あの加護が原因である。断定だ。
レイに思いつめた表情で告白されて、キスされて、押し倒された。
俺は激しく後悔した。
女神は次も女性に生まれるとは言ってなかった。
私も確認しなかった。
あのとき、男に生まれるなんて思ってもみなかった。
あのとき、男性ではなく異性と言っていればと。
異性にもてたい、と言っていれば。
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