第19話 VSナイトカブト
飛び上がり、ナイトカブトの突進を回避した俺はナイトカブトが俺の下を通過する時に『アイアンテール』でナイトカブトの背中を打った。
甲殻を砕き、ナイトカブトは地にめり込んだ。
しかし、すぐに起き上がり、滞空し、こちらを睨む。
******************
名前:
種族名:ジャイアント・ナイトビートル
状態:憤怒(大)・物理ダメージ軽減
性別:オス
LV:20/31
HP:178/214
MP:99/99
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ちっ、思ったより効いてないな。
『アイアンテール』と『メタルクロー』はMPを消費するスキルだ。
そう何度も使えない。
******************
名前:マキシス
種族名:マシンドラゴン
状態:通常
性別:不明
LV:26/38
HP:139/196
MP:26/256
******************
後、1回でも『アイアンテール』か『メタルクロー』を使えば『マナウィング』を維持出来なくなる。
空を飛べなくなれば、敏捷で勝っていても不利を強いられるだろう。
そもそも、それを無視してもあと2回しか使えない。
しっかりと命中させても倒しきることが出来ない。
ならば、MPを使わない『噛み砕く』とスキル無しの通常攻撃で勝負を付けるしかない!
「ギシャァァァア!!」
俺が決意を固めると同時、再びナイトカブトが突撃してきた。
俺は高度を上げ、再び回避する。
今度は追撃せずに、距離を取る。
やはり、上位個体といえどもさっきまでのカブトと同じ攻撃方法だけのようだ。
俺は翼を打ち、カブトへ急接近。
攻撃後で隙を晒してるカブトの羽へ爪を振る。
「ギシャア!?」
スキルを使わなかった分、さっきよりも傷は浅いが、虫の薄い羽を引きちぎるには十分だった。
羽を失ったカブトは地面へ落下した。
俺はそれを追いかけるように翼から力を抜き、落下した。
そして、地面に落ちたカブトを両足で踏み潰した。
「ギシャァァァアアァァァアアアア!!!!???」
カブトの悲鳴と凄まじい轟音が辺りに響いた。
カブトは全身から体液を噴き出し、砕けた甲殻が飛び散る。
思った通り、『メタルクロー』による攻撃よりもダメージが入っている。
鉄の塊が落ちてきたらそりゃ痛いだろう。
だが、同時に俺の足にも亀裂が入り、破片が飛び散る。
ぐっ、だがこれも予想通り。
致命的なダメージではないし、俺には自動回復スキルがある。
それほど問題ではない。
[耐性スキル『落下耐性:LV1』を獲得しました]
[攻撃スキル『メタルスタンプ:LV1』を獲得しました]
っと、スキル獲得か。
耐性はともかく、あの攻撃もスキル判定になるのか。
俺はスキル確認を後にして足元のカブトへ爪を振り下ろす。
「ギシャア!」
しかし、その前にカブトが勢いよく立ち上がった。
そのせいで上に乗っていた俺は体勢を崩し、後ろへ倒れる。
だが、俺は尾を地面に叩きつけ、その反動で強引に体勢を立て直す。
その隙にカブトは俺の足下から逃れる。
俺は、足止めするべく、不完全な体勢ながらも爪を振る。
お粗末な攻撃だったが相手との敏捷の差を考えれば確実に命中したはずだった。
しかし、当たる直前で、カブトは急加速。
土煙を上げながら俺の左横に回り込んできやがった。
な、何が起こった?
明らかに奴のステータス以上の速度だった。
奴のスキルで素早く動けるのは『猪突猛進』のみだ。
あれは恐らく、ステータス以上の速度で攻撃できるが、直線的な動きしかできず、制御が上手く出来ないスキルだ。
にもかかわらず、奴は短距離を駆け、急停止しやがった。
疑問を抱きつつ、カブトを目で追うと、土煙に紛れて、カブトの足がいくつかちぎれ飛んでいた。
こ、こいつ、HPと足を犠牲にして『猪突猛進』のスピードを急停止しやがったのか……!
唖然とする俺にカブトは角を突き刺してきた。
腹部に直撃し、衝撃が身体に走り、身体が砕ける。
カブトの攻撃と俺の防御にはそれなりに差があったはずだが『主の矛』の効果か思ったよりダメージを貰ってしまった。
[耐性スキル『物理耐性:LV1』を獲得しました]
そのアナウンスを聞きつつよろけた俺にカブトは追撃を加えようとしてくる。
だがさせない!
俺は大きく口を開け、『噛み砕く』でカブトに攻撃する。
甲殻を砕き、体液が俺の口に溢れる。
逃れようとするカブトをさらに両手で押さえ付ける。
そして、俺は翼を広げ、空に飛び上がる。
俺が飛べる最高高度まで上がる。
そして、俺は空中で一回転しつつ、勢いをつけてカブトを地面に向かって投げ飛ばした。
「ギシャアアァァァァァァ」
悲鳴を上げながら墜落していくカブトが地面に到達する前に俺は翼を打ち、追いかける。
最高速度で『メタルクロー』と『メタルスタンプ』の合わせ技で奴のHPを削り切る!
視線の先ではカブトが地面に墜落した。
減った足で逃げようとしているが速度が全くない。
たとえ『猪突猛進』を使おうとも逃げられない。
『メタルクロー』を使ってしまうと『マナウィング』が維持出来なくなるのでギリギリまで引きつける。
そして、地面に墜落する直前に右手に魔力を込める。
背中の光の翼が消えるが無視して、カブトに右手を叩きつけた。
[攻撃スキル『天球投げ:LV1』を獲得しました]
[耐性スキル『落下耐性』がLV1から2に上がりました]
[攻撃スキル『メタルクロー』がLV2から3に上がりました]
さっきの比ではない衝撃と轟音が響き渡る。
衝撃で何が起こったのか分からず気がついたら地面に倒れていた。
起き上がろうとして気づく、右手が完全に砕け散っている。
『自己修復』による回復が必要だろう。
右手だけでなく全身ボロボロだ。
だが、かろうじて動く。
経験値取得が無い。
まだ生きている。
軋む身体を起こし土煙の漂う周囲を見渡す。
「ギ……シャ……ァ……」
弾き飛ばされたのか少し離れたところに瀕死のカブトがいた。
良かった、まだ動けたら死んでたところだ。
動くだけで身体の破片が落ちるボロボロの身体を引きずるようにしながらカブトの元まで歩き、残る左爪を振り下ろした。
[経験値を獲得しました。称号『魔なる神の加護』の効果で経験値が増加します。400の経験値を獲得しました]
[経験値が一定数値に達しました。LVが26から29に上がりました]
はぁ、終わった……。
MPがなかったせいで強引に攻めるしかなかったからめちゃくちゃギリギリだったな……。
もっとしっかりとMPを回復してから来るべきだったか。
「「ギシャア!!」」
苦労して倒してひと段落していた俺に2匹のカブトが突っ込んできた。
くっ、まずい!
もうHPは限界だ!
ダメージで身体はマトモに動かないからカブトの『猪突猛進』を避けられない!
だがそれでも受ける訳にはいかないので俺は回避を試みようとする。
が、2匹のカブトは俺にぶつかる直前で弾け飛んだ。
直後——
「ギシャァァァァァァァアアアァァァアァァァァァアアア!!!!!!」
凄まじい悲鳴が聞こえた。
声の発生源を見ると、クイーンカブトが身体に傷を作り、のたうち回っていた。
周囲を見渡せばもうナイトカブトは全滅したようだった。
それからはあっという間だった。
何とか生き延びようとクイーンカブトは足掻いたが、クイーンカブトの攻撃はアイレクスにマトモに通じず、アイレクスの攻撃を数発受けてクイーンカブトは倒れてしまった。
そうして、長かった虫達との戦いが終わった。
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この作品が異世界ファンタジー週間で1614位になったようです。
皆様ありがとうございます。
カクヨムってめちゃくちゃランキング多いんですね。
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