第12話 名付け合い
狼の群れがいた草地に戻ってくると不思議そうなシュトゥ・ウルフと相変わらずこちらに敵意剥き出しの狼達に迎えられた。
“む、早かったな。返り討ちにでもされたか? ”
違ぇよ。最低限のレベル上げ終わったから戻ってきただけだよ。
“なんだと? 何レベルまで上がったのだ? ”
6レベルまで上がったけど?
“な、なんだと⁉︎”
うお、どうした。
“早すぎではないか? どういうことだ? ”
あれ? 言ってなかったっけ?
称号のおかげで必要経験値が半減して、獲得経験値が倍増してるんだよ。
“そ、そうだったのか。凄まじい効果だな”
確かになぁ。
“では、キサマのレベル上げもこれぐらいでいいかもな”
え? もう?
“そもそもキサマが相手するのはFランクとEランクだ。そこまで上げる必要もあるまい”
むむ。確かにそうなのかな?
まあいいや。んでそれはいいんだけどよ。
“む? 何かあるのか? ”
そのキサマっていうの辞めてくれね?
“む、ならば名前を教えるのだ”
いや、無いけど。
“ではどうしろと言うのだ”
えーと、うーん。
そうだ。お前が付けてくれよ。
“はあ? それでいいのかキサマ”
いいよいいよ。前の名前思い出せないし。
“まあ、よかろう。しかし、代わりにキサマも我の名前を考えるが良い”
え? なんで?
“キサマだけ名前があるなど許せるか! ”
えー、まあいいけど子供かよ。
“うるさい! キリキリ考えろ! ”
はいはい。うーんじゃあ、ポチとかで——
“噛み殺すぞ”
——よくないですよね! 言ってみただけです!
うーん。じゃあ、シロで——
“踏み潰すぞ”
欲張りだな!
じゃあお前は俺に何て名前を付けようとしているんだよ!
“む? そうだな。……アイとかどうだ? ”
テメェ人のこと言えんのか!
アイアンの最初2文字取っただけじゃねぇか!
“む! キサマこそ欲張りではないか! 我が名前を付けてやるのだからワガママ言うではないわ! ”
何様のつもりだ!
“Aランク様だ! ”
強けりゃ偉いつもりか! この犬っころが!
“それを言うならキサマは鉄屑だろう! ”
んだとこら!
何だかんだ言って俺らは寂しかったのかもしれない。
俺はいきなり1人きりで知らない場所に放り出されたし、シュトゥ・ウルフは1人ではなかったが仲間の狼たちは崇められている感じがしていたし、1人ではなかったが独りだったのだろう。
そして、俺らは少し楽しそうに言い合いを続けた。
◆◆◆
それから小一時間ほど言い争いに近い話し合いが行われた後、互いの名前が決まった。
“では、キサマの名前は
おう。そして、お前の名前は
そう、話が付くと、
[「マキシス」と名付けが行われました。受け入れますか? ※後で名称を変更することは出来ません]
うおっ、びっくりした。
そうかステータスに載るから、この声が確認するのかな。
ま、取り敢えず受け入れるで。
[名称が「マキシス」に決定しました]
“うむ”
満足気に頷いたシュトウ・ウルフことアイレクスに俺はふと疑問に思い、1つ聞いてみることにした。
なあ、このレベル上がった時やスキル手に入れた時とかに聞こえる声ってお前にも聞こえるのか?
“我の名前はアイレクスだ。お前ではない”
こ、こいつッ。めんどくせぇぞ。
で、どうなんだア イ レ ク ス!
“ふふふ。答えてやろうマキシスよ”
このッ。分かりやすく浮かれやがってッ。
“もちろん聞こえているぞ。この声はステータスを持つ者ならば人間族、魔物関係なしに聞こえるそうだ。たとえ、まともに自我がない者であろうとな”
なんで、そいつに自我ないのに聞こえてるって分かるんだ?
“知るか。人間どもがそう言っているのを聞いただけだからな。何を根拠に奴らが言っているのかなど知らん”
ふ〜ん。そうかい。
世界の声ねぇ。一体どういう原理なんだか。
“さて、レベルが済んだならさっさとあの不届き者を始末しに行くぞ”
どうやら余程、勢力を広げているという虫の魔物がムカつくらしい。
というか待ってくれよ。俺今HPが——あれ?
“どうした? ”
そういえば、急ぐ必要ってあるのか?
もっとしっかり準備をしたいんだけど。
“我の縄張りで好き勝手している輩がいるのだ。それ以上に急ぐ理由が必要か”
つまりないってことじゃないか……。
なあ、3日くらい時間をくれない?
弾丸をもっと用意したいし、レベル上げももう少ししておきたいんだけど。
“む、しかしだな。奴らは増えるのが速いからな……”
だったらレベル上げついでに数を減らしていけばいいだろ。
正々堂々戦う理由なんてないじゃん。
“この我に格下相手にそんな手を使えと言うのか! ”
そんなのどうでもいいだろ。
数で劣ってるなら、お前の配下に死者が出るかもしれないだろ。俺だって死ぬかもしれないし。
“ぐぬぬッ。……3日だけだからな! ”
はいはい。あんまり時間かけるのもアレだしな。
ていうかそんなゴリ押し思考でよくAランクまで強くなれたな。
“格下相手には力でねじ伏せると決めているだけで強者にはいかなる手も使うぞ”
なんだよその無駄なこだわりは。
舐めてて痛い目に遭ったことないのかよ。
“…………”
あんのかよ!?
だったら反省して改めろよ!
“ええいうるさい! さっさと準備を始めるぞ! ”
なんか、虫の魔物退治が一気に不安になったんだけど……。
◆◆◆
それから、俺達は虫駆除に向けて動き始めた。
まず、俺を含めたEランク以下の魔物達のレベル上げ。
そして、アイレクス含めたDランク以上は虫の数を減らす。
そして、3日が経った俺達のステータスだ。
******************
名前:マキシス
種族名:マシンガンナー
状態:通常
性別:不明
LV:10/18
HP:70/70
MP:94/94
攻撃:24+52
防御:35
魔攻:47
魔防:35
敏捷:18
ランク:E
装備
『魔剣 マナリス:D』
特性スキル:
『鉄の体:LV3』『演算:LV2』『短剣術:LV2』『格納庫:LV2』『気配感知:LV2』
耐性スキル:
『毒無効:LVー』『麻痺無効:LVー』『睡眠無効:LVー』『病魔無効:LVー』『飢餓無効:LVー』『口渇無効:LVー』『失血無効:LVー』『窒息無効:LVー』『痛覚無効:LVー』『恐怖耐性:LV1』『地属性耐性:LV1』『魔力耐性:LV1』
攻撃スキル:
『ロケットパンチ:LV1』『射撃:LV2』『狙撃:LV1』
通常スキル:
『神鑑定:LVー』『瞬歩:LV1』『金属変形:LV2』
称号:
『魔なる神の加護』『盗っ人』『同族殺し』『回避王』『生還者』
******************
******************
名前:アイレクス
種族名:シュトゥ・ウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:83/110
HP:2536/2536
MP:2946/2946
攻撃:1473
防御:1220
魔攻:1484
魔防:1268
敏捷:1578
ランク:A
特性スキル:
『暗視:LVMAX』『人間言語:LVー』『気配感知:LV7』『HP自動回復:LV5』『MP自動回復:LV8』『魔力感知:LV8』『思考加速:LV5』
耐性スキル:
『物理耐性:LV5』『魔法耐性:LV8』『風属性無効:LVー』『全属性耐性:LV4』『状態異常耐性:LV5』
攻撃スキル:
『噛み砕く:LV5』『風爪:LV9』『風刃:LVMAX』『ウインドスフィア:LV6』『ウインドブレス:LV5』『咆哮:LV6』『首刈り:LV4』
回復スキル:
『自己再生:LV8』
通常スキル:
『瞬歩:LV3』『空歩:LV6』『縮地:LV6』『フライ:LV8』『人化:LVー』『念話:LVー』『風の外装:LV4』『眷属化:LV2』
称号:
『災害』『竜殺し』『殺虫者』『長命者』『寂しがり屋』『森の覇者』『最終進化者』
*******************
******************
名前:
種族名:ベビーウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:7/10
HP:42/42
MP:42/42
攻撃:28
防御:14
魔攻:21
魔防:21
敏捷:35
ランク:F
特性スキル:
『暗視:LV4』
攻撃スキル:
『噛み付く:LV2』『引っ掻く:LV1』
称号:
『森の覇者の子』
******************
******************
名前:
種族名:ウインド・キッズウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:13/19
HP:82/82
MP:110/110
攻撃:44
防御:34
魔攻:59
魔防:53
敏捷:70
ランク:E
特性スキル:
『暗視:LV5』『気配感知:LV2』
耐性スキル:
『風属性耐性:LV2』『毒耐性:LV2』『麻痺耐性:LV1』
攻撃スキル:
『噛み付く:LV3』『風爪:LV2』『風刃:LV3』
通常スキル:
『空歩:LV2』『瞬歩:LV1』
称号:
『森の覇者の子』
******************
******************
名前:
種族名:フォレトス・ウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:32/35
HP:232/232
MP:232/232
攻撃:151
防御:83
魔攻:116
魔防:116
敏捷:177
ランク:D
特性スキル:
『暗視:LV8』『気配感知:LV3』『HP自動回復:LV2』
耐性スキル:
『毒耐性:LV4』『麻痺耐性:LV2』『物理耐性:LV3』
攻撃スキル:
『噛み付く:LV5』『引っ掻く:LV4』
回復スキル:
『自己再生:LV2』
通常スキル:
『空歩:LV5』『瞬歩:LV3』『縮地:LV2』『連携:LV3』
称号
『森の覇者の眷属』『森の申し子』
******************
******************
名前:
種族名:ウインド・ウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:18/32
HP:148/148
MP:200/200
攻撃:100
防御:53
魔攻:100
魔防:74
敏捷:114
ランク:D
特性スキル:
『暗視:LV6』『MP自動回復:LV1』
耐性スキル:
『風属性耐性:LV3』『毒耐性:LV3』『麻痺耐性:LV1』『物理耐性:2』
攻撃スキル:
『噛み付く:LV4』『風爪:LV4』『風刃:LV5』『ウィンドスフィア:LV3』
通常スキル:
『空歩:LV3』『瞬歩:LV1』『連携:LV1』
称号:
『森の覇者の子』
******************
******************
名前:
種族名:ヴィールヒ・ウルフ
状態:通常
性別:メス
LV:36/52
HP:320/320
MP:408/408
攻撃:203
防御:136
魔攻:207
魔防:160
敏捷:231
ランク:C
特性スキル:
『暗視:LVMAX』『HP自動回復:LV1』『MP自動回復:LV5』
特性スキル:
『風属性耐性:LV8』『物理耐性:LV3』『魔法耐性:LV2』『毒耐性:LV6』『麻痺耐性:LV2』
攻撃スキル:
『噛み砕く:LV5』『風爪:LV4』『風刃:LV6』『ウィンドスフィア:LV3』『ウインドブレス:LV2』『咆哮:LV3』
回復スキル:
『自己再生:LV4』
通常スキル:
『空歩:LV4』『瞬歩:LV3』『縮地:LV1』『指揮:LV4』『連携:LV3』
称号:
『森の覇者の番』『最終進化者』
******************
それぞれで1番レベルが高い奴らだ。
他もスキルレベルやステータスに少し差はあれど大体同じくらいだ。
アイレクスは1レベルも上がらなかったようだ。
流石にAランクは成長が遅いな。
……見てお分りの通り、俺だけ悲しいほど遅い。
ていうかベビーにも負けてる。
何故かヴィールヒ・ウルフに『指揮』のスキルがあって、アイレクスにはないのだが、アイレクスに聞くと“指揮なんぞ面倒なことできるか”“スキルの関係上1人の方がいいのだ”などと言ってきた。
まあ、つまりいつもは、アイレクスが1匹で暴れながら、ヴィールヒ・ウルフが指揮を執るんだろう。
そして、まさかのヴィールヒ・ウルフの称号。
こいつ、リア充——リア獣だったのか。まあ、前に子供言ってたけどさ。チッ。
さらに気になったのはウインド・ウルフの5匹中4匹が、フォレトス・ウルフの3匹中1匹が最終進化者持ちだったのだ。才能の差かな?
ていうか、アイレクスもヴィールヒ・ウルフを経由した筈だしな。
ていうことはDランクで進化が止まることもあるのか。
俺は大丈夫だよな。『魔なる神の加護』って称号あるしな。
ていうかマジでこれなんなんだろう。アイレクスに聞いても知らんって言うし。
3日で弾丸は20発程作ることができた。
試しに5発使ったので使えるのは15発程だ。
そんなこんなで準備も終わったのでこれから俺がこの世界に来てから初めての大規模戦闘が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます