第7話 進化
俺は落ちている右腕を回収した後、森を散策し始めた。
木の根や腰ほどもある雑草や傾斜など前世の俺なら確実に倒れていると確信出来る程の険しい道を歩いていく。
時々動物を見かけるが俺を見て、一瞬驚くがその後は逃げも襲いかかっても来ない。
機械だからかな?
でも、倒さないとレベル上がらないからこっちから行かなきゃいけないんだよな。
しかし、こうしてみると本当にファンタジーなんだなと実感する。
動く植物や見た目完全に鶏なのに飛んでいたりなど。
1番面白かったのは2つの頭を持つ鹿だ。
片方が地面の草を食べて、もう片方が周りを警戒していたのだが、警戒していた頭が俺に気づくとビクッとしたのだ。
そこまでは他の動物と同じなのだが、急に身体がビクッとしたのに驚いたのか草を食べていた頭が、これまたビクッとしたのだ。
それにまた片方が驚いて草を食べていた頭へ顔を向けたのだ。
しばらく見つめ合っていたが、お互いのツノでゲシゲシとし始めた。
思わず心の中で笑ってしまった。
しかし、あのような複数の頭を持つ場合身体の操作権はどっちが持っているのだろうか。
意思は見た感じ別れてそうだが。
まあ、俺には多分関係ないが。
それより、レベル上げだが、よく考えると機械の体だから食べ物が必要ない訳でそれなのにレベル上げの為だけに殺すのは如何なものかと日本人の感覚として思ってしまう。
勿論、微生物や森の他の動物が死骸を食べるだろうが、それでも殺したのを放置は流石に気が引ける。
何? ガラクタは普通に壊してたろって?
だってあいつら意思みたいの無いし、機械だし。
まあ、レベル上げしたいからやるけどさ。
せめてあのカエルもどきを倒せるくらいには強くなりたい。
俺は根に持つタイプなのだ。
いい加減そこら辺の動物を襲うかと考えていた俺の前の草むらがガサガサと音を立てた。
しばらくすると、30cmくらいの白いカブトムシの幼虫みたいのが出てきた。
……キモい。
「キシャァァァ」
相手もこちらに気づいたのか口を開けて威嚇する。あら好戦的。
とりま神鑑定。
******************
ラーブァ:F……昆虫系
あらゆる昆虫系の魔物の幼体。産んだ魔物ではなく育てた魔物によって進化先が変わるため自分では幼虫を産まず、他の魔物から奪って繁殖する魔物も存在する。
ステータス
HP:F MP:F− 攻撃:F+ 防御:F− 魔攻:F− 魔防:F− 敏捷:F
******************
地球の常識で考えると意味不明だな。
遺伝子情報どうなってんだよ。
ステータスは、と。
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名前:
種族名:ラーブァ
状態:通常
性別:オス
LV:4/8
HP:16/16
MP:8/8
攻撃:12
防御:4
魔攻:4
魔防:4
敏捷:8
ランク:F
攻撃スキル:
『噛み付く:LV2』
通常スキル:
『救援要請:LV1』
称号:
******************
同レベルか。
でも、HPと攻撃以外は大したことないな。……スキルが不安だが。
救援要請**************
近くにいる自分の仲間を呼ぶ。大抵自身より強い存在が助けに来る。
******************
自身より強い存在ってことは最低でもEランクかな?
使わせたら詰むかもな。
色々考えていた俺へ、飛びかかって来る。
普通なら手強い相手だが、俺にはマナリスがある。
大口を開ける奴の口へ突き刺す。
緑色のドロっとした液体を垂らしながらしばらく暴れながら叫ぼうとしていたが「シュー、シュー」と鳴るだけでしばらくすると力尽きた。
[経験値を獲得しました。称号『魔なる神の加護』の効果で経験値が増加します。32の経験値を獲得しました]
ファッ⁉︎
[経験値が一定数値に達しました。LVが4から7に上がりました]
獲得経験値多っ!
称号の効果なくても16って多すぎだろ!
まあ、それでも3しか上がってないからガラクタが少なすぎたのだろう。
それでも後1レベル上げれば最大レベルだ。
そういえば、死ぬ前に叫ぼうとしていたあれは『救援要請』をしようとしていたのだろうか。
そうだとしたら口を狙ったのは良かったかもしれない。
さて次、と思っていたところにもう1匹ラーブァが現れた。
こちらに気付いて、威嚇していたラーブァの頭を両断する。
[経験値を獲得しました。称号『魔なる神の加護』の効果で経験値が増加します。32の経験値を獲得しました]
[レベルが一定数値に達しました。LVが7から8へ上がりました]
[LVがMAXになりました。進化条件を満たしました]
最大レベルになったようだ。
進化先はなんだろな。
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【マシンガンナー:E……機械系】
【からくり兵:E……機械系】
【マシンアサシン:E……機械系】
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お、今回は3つか。
……個人的には1番上が気になる。
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マシンガンナー:E……機械系
右腕が銃になっているロボット。古代兵器の第2世代。ガタイは大きいがHP防御は並。ガタイの大きさ故に鈍足。固定砲台。
ステータス
HP:E MP:E+ 攻撃:E− 防御:E 魔攻:E+ 魔防:E 敏捷:E−
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やっぱり銃か! カッコ良さそうだな。でも足遅いのか。攻撃はマナリスで補えるから近距離も遠距離でも戦えると思うけど足遅いのは少し心配だな。
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からくり兵:E……機械系
古代に使われていた兵器の初期型。試作品と違い魔力攻撃も可能。命令を聞くのみ。相変わらず鈍足。
ステータス
HP:E+ MP:E 攻撃:E 防御:E+ 魔攻:E+ 魔防:E 敏捷:E−
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これも一応なくはないがでも魔力攻撃がなんなのかわからんのがな。
遠距離攻撃じゃない可能性もあるんだよなぁ。
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マシンアサシン:E……機械系
暗殺の為にとある聖女が作り出した機械。闇夜に紛れ、高速で相手を仕留める。打たれ弱い。
ステータス
HP:E− MP:E+ 攻撃:E+ 防御:E− 魔攻:E 魔防:E 敏捷:E+
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これはいいかもしれないな。
打たれ弱いのは難点だが、マナリスをメインとして使えそうだ。
しかし、遠距離攻撃がないのがなぁ。
う〜ん。悩ましいな。からくり兵は取り敢えず無しでいいかな。
魔力攻撃が気になるが大したことなかったら、そこまで旨みは無いと思う。
HPと防御が高いのはいいかもしれないが特に説明にHPの回復手段あるなんて書いてないから受けに徹するのもアレだし。
後はガンナーとアサシンだが、どちらも捨てがたい。
ガンナーは遠距離攻撃が魅力的だし、アサシンは素早さで敵を翻弄しながらマナリスの火力を使って戦うのが強そう。
……どうしよ。
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