第66話 サバイバル二日目 その3
「ねーねー。じゃんけんパンツでもしよっかー」
なんとなく提案する。特に考えずに口走る。そういうときもある。それがわたし。
「たわけ。負けたらモロ出しではないか」
「そのときはスカートを手でちゃんとガードできれば、あらゆる問題なっすん」
「タマちゃん、わたしと見せっこする……?」
「いやあ、じゃんけんに勝って相手のスカートをめくるところにロマンがね?」
じゃんけんパンツとは、われらがミスカトニック女子高等学校発祥の、女の子の、女の子による、女の子のための楽しい遊戯である。
ルールは単純。
じゃんけんをして、勝ったほうは利き腕じゃない方の手で相手のスカートを正面からめくり、負けたほうは利き腕の手でそれをさせじとスカートの正面を押さえる。
じゃんけんの勝ち負けで使う左右の手が変わるのがミソの部分であり、瞬時の判断を要する壮絶で楽しいスカートめくり遊びとなるのだった。
「やっぱ布一枚でも、なければないで尻がスースーするなぁー」
「うふふふ……」
ぶわっ、と美琴に正面からスカートをまくり上げられた。
繰り返すが、制服の下は何もつけていない。
オンナノコ丸出しである。
「にゃーっ、おいどん今両手ふさがってるち、何するとですかーっ」
自分でも正体不明の方言で注意を入れる。
汲んだ水を満載にした鍋は咲子が、ボウルとろ過器のペットボトルはわたしが持っていた。二人とも両手は塞がっており、美琴だけフリーハンドなのだった。
「タマちゃん、オンナノコがツルツルで可愛いもん。だから、つい……」
「お子ちゃまみたいですかー、そうですかー」
「腋もツルツルで、処理しなくていいなんて羨ましい。あと、ぺろぺろしたい……」
「さらっとアレなことを申し出ないように。ちょ、ダメ。まためくろうとしない!」
「じゃあめくるのやめる代わりに、後でスカートの中に顔を入れてもいい……?」
それ、アレよね。クンニリグスのポーズだよね。朝から激しい過ぎません?
もし致すとしても、もう少し……ほら、情緒というか。色々とあるでしょうに。
「ダメったら。サキ姉ちゃんー、フリーダムなミコトになんか言ってあげてよぉ」
「うむ、わたしの見ないところでなら、好きなだけむつみ合うがいい」
「裏切者ぉ。その豊富なマン毛をちょっと分けろぉ。ぺろぺろするぞ!」
「わ、わたしは濃くないぞ。普通だからな! あとぺろぺろはせんでいい!」
「うふふふ。タマちゃんの素敵地帯を隠すスカートを、ぶわっと……」
「やーめーてー、やーめーてー」
じゃれ合いながら姦しく拠点に戻り、まずは下着を洞穴の天井に通したロープに仲良く吊るす。弱火保存にしていた簡易コンロにヒノキの枝を投入、火力を上げる。
鍋をコンロにかけ、三人は竹のベッドにあがり、ぼーっと湯が沸くのを待つ。
ときおり美琴が懲りずにわたしのスカートに手を伸ばしてくるので、いっそのことと彼女を後ろから抱き留めて逆襲がてらに乳を揉んだ。
彼女の胸は乳首がツンと上向いた、バランスの良いCカップである。
人差し指で乳輪の円周をさわさわとなぞると、予想以上に艶っぽい声を出した。ダイレクトに乳首を刺激するよりも周りから攻めたほうが効果が高いのだった。
女の子の身体は、女の子が一番よく知っている。わかんだねー。
そんなおっぱい研究家のわたしのフィンガーテクを披露していると、不意に咲子にツッコミのチョップを頭に頂いた。曰く、目の届かぬところでやれとのこと。
サキ姉ちゃんもしてほしい? と聞くとボムっと瞬時に顔を赤らめて、たわけと返してきた。今度、咲子にもねっとりとキモチ良くなって貰おうと思う。
と、そのとき。
ビクッと美琴の身体が跳ねた。そしてぐでりと力なくこちらに身体を預けてくる。
「タマちゃんが積極的でわたし、わたし……わたし……もう……っ」
少々やりすぎたらしい。
彼女は乳輪円周への刺激だけで絶頂を迎えたようだった。
「ごめん。調子こきました」
「いいの……凄く良かったもん。また、してね……今度は二人っきりで……」
「お、おう。もしかしたらアレだったら、ティッシュ、あげるね」
「タマちゃんがこんなふうにしたから、タマちゃんに拭いて貰いたいな……」
「えぇ……」
一瞬迷ったが、なんとなく罪悪感が勝ってそのようにしてやる。
手探りでオンナノコの湿潤を拭う。他意はない。本当に他意はない。
でも、少女特有の良い匂いがする。こう、湿気の籠った心地よい酸味というか。
咲子は気を使ってくれているのかよそを向いていた。こんなところでアレなプレイとかごめん。心で謝罪する。でもまたやると思う。わたしってそういう子だから。
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