第49話 講習会。

 アレンがギルドの二階へ上がると、いくつか部屋が並んでいた。


 その中のA-2号室に入っていった。


 A-2号室は中学校の教室のような部屋で、木の椅子が三十脚ほど並んでいた。


 すでに人が十五人ほど居て……その人達は冒険者と言うよりも村人のような少しボロ軽装だった。


 アレンは空いていた一番後ろの木の椅子に座った。


 もしかしたら、村から出稼ぎで働くために冒険者登録したのだろうか?


 まぁ、俺も同じようなもんか……。


 ん……冒険者は意外と女性割合が多いと聞くけど、今のところ一人だけか。


 アレンはしばらく部屋にいる人達を観察していて、アレンの視線が、一人のクリーム色をした髪の女性に留まった。


 そのクリーム色の髪の女性は他の人達と少し離れた位置に座っていた。


 クリーム色の髪の女性は一見男性に見えてしまうほどの中性的な顔立ちで、クリーム色の髪をマッシュルームカットにしていた。


 小柄だがそれなりに鍛えられているのが見てとれた。


 アレンが観察していると、アレンの視線に気づいたのかクリーム色の髪の女性がアレンの方に視線を向ける。


 アレンは咄嗟にクリーム色の髪の女性から視線を外すように俯いて、目を瞑った。


 しばらく、アレンは目を瞑って、周りの声に耳を傾ける。


「あー緊張する」


「怖い人とか出てきたりしないよな?」


「さすがにそれはないだろ。ただの講習会だし」


「そ、そうだよな」


「今日から本当に冒険者の仲間入りだな」


「まぁ当分は雑用だと思うけどな」


「うぅ、早く魔物の森で稼ぎたいぜ」


「だよな」


 アレ? 魔物の森ってのはユーステルの森か?


 今、講習会に来ている人達では、全員でパーティーを組んでもあの森に入るには力不足だろ。


 あと力量以前に、装備がしょぼすぎるし。……当分は雑用で稼いで装備と力を付けないと早死にするだろ。


 しばらくアレンが目を瞑っていると、部屋の中にぞろぞろと追加で人が入ってきて騒がしくなる。


 アレンは目を開けて、周りを確認するように見た。


 すると、アレンの周り……というかA-2号室に置かれていた椅子のほとんどが埋まっていた。


 アレンの前に座っていた金色の髪の男性が近くに居た仲間達とへらへらと笑いながらしゃべっていた。


「ここがA-2号室か」


「貧相な奴かが多いな」


「ふ、ルーカス、お前に比べたら誰だってそうなるさ」


「そうかな? まぁ、それなりに集まっているな」


「最近、不作だから、農家の出身が増えているって話だぞ?」


「あぁ、なるほどな。それなりに居たら役に立つかな?」


「ん? 何か考えがあるのか?」


「少しな」


 なんか変なのが来た?


 他との実力差が分からないレベルだし。


 そこまでではないな。


 まぁ、剣の武器に装備がぼちぼち揃っているだけましか。


 それから、ギルド職員が入ってきて、講習会が始まった。


 講習会の内容は冒険者をしていく上で必要な説明となっていた。




 冒険者は階級制を採用していた。


 S級、A級、B級、C級、D級の五階級に分かれている。


 ちなみに昇級方法は……。


 C級、B級へにはクエストを評価B以上で三十回行うことで昇級できる。


 次にA級はクエストを評価B以上で三十回行うのに加えてギルドが指定するクエストをいくつかこなして評価されて昇級が決まる。


 ただ、S級に関しては冒険者ギルドへ大きな貢献して、ギルドマスターが認めた者という昇級方法のようだ。


 次に冒険者のパーティーについてである。


 冒険者のパーティーは何人と組んでも、互いの了承さえあれば自由である。


 パーティーの結成や解散、加入、脱退は冒険者ギルドでも管理するために、報告することとなっている。


 クエストについて、クエストは冒険者ギルドのロビー隣の掲示板に張り出される。


 それに加えて、最初の内はほとんどないが、今までのクエストの達成状況などをみて冒険者ギルドが冒険者個人に名指しでクエストを依頼する指名クエストというものがあるそうだ。


 基本的にパーティー内にS級の冒険者が一人でもいれば、そのパーティーはS級のクエストが受けることが可能である。


 ただし、無理に受けた上位のクエストの評価が低いとペナルティとしてパーティーメンバー全員の階級が下がる可能性があるため、クエストは慎重に選ぶ必要がある。


 それから、入街税について冒険者はクエストを受けている最中であれば免除されるとのことや冒険者が格安で泊まれる寮のこと、シャワー室などの冒険者ギルド内の設備のことが説明された。

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