No.2 『Unnamed Monster』

「クソっ!?どこでバレた!いつからだ…いつ……。」


「なぁ?散々嗅ぎ回ってたんだ。何で狙われてンのかもう分かってるよな?」


月すら隠す分厚い雲。更にその空を閉ざすビルの街

小さな女が大柄な男を追い詰める奇妙な姿がそこにはあった


「もう諦めろって。オレが来た時点でアンタ……ゲームオーバーだぜ?」


指で銃を作って「バーン。」と男の背後を撃ち示す

瞬間金色の軌跡が男を裂く……



「後はこいつと繋がってやがった妖魔の方か。」


「探す必要はないようだ。入り込んでいたみたいだな。」


倒れた男から煙のように抜け出す黒い影を指差し、もう一人の襲撃者。刀遣いが合図を送る


「なら歓迎してやんねぇとな?セトリを出しな相棒。一番ノリの良い奴を弾いてやるぜ。」


指を天高く。ようやく顔を出した月に向かって突き上げる

ドゥンドゥンと集まった旋律がアンプとなって膨れ上がる


―― 吸い込んだ息が一瞬、世界の音を奪い去って時を止める



Fairy tales were, it seems, dead a while ago.

 ― 残された希望は既に俺達が摘み取った


In the brick-hospital I wasn't able to sing so well.

 ― 暗い街の中で助けを呼ぶ声すらあげられず


On the foggy night, the scarlet moon was floating.

 ― ビルの影はスモーク、月明かりはスポットライト


Check it out, please look at me. Don't look this way and that.

 ― お前の敵は此処に居る。目を離すなよ一瞬だ


In the black iron-barred prison, I came into this wonky grim world.

 ― 鎖に繋がれた怪物が、今お前に向けて放たれたんだ


Wish for the compensation for malice. As you wish, as you like,

 ― 最期の望みを言ってみろ。代価にお前の命を貰っていく


I'll give you the truth. I'm gonna break the world, before I become crazy.

 ― さぁ神罰を与えよう。世界が蝕まれる前に浄化の鉄槌を


Let's pay for the cause and effect, and go together, shall we? Un-named Monster.

 ― 世に葬り去られた執行人刃佩流。手にするのは存在しない筈の凶器失われた技術




二人が街の影に溶けていく。後には何も残らない。

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