【創作企画】刀神・参加作品 『Noisy』

@GAU_8

No.1 『Time To Attack』

足音。


「~♪」


一人の男が歩いている。ヘッドホンを耳に歌を口ずさみながら。瘴気の漂う中へ


足音。足音。足音。


いくつもの足音が影を伸ばす。瘴気の中から姿を現す


骸骨。襤褸ぼろ布。錆び刀。敗れた夢に縋る愚か者

歩みを止め、同じく錆び刀を構える。金色の古刀衰えは知らず


「オイオイ。随分とオーディエンスがいるじゃねぇか。ンだよ、パーティならオレをもっと早く呼べよな?」


とんっ と背中合わせに現れるハネっ毛の小柄な女


「そう言いながらずっと着いて来てただろ?」


「なんだよ気づいてたのか。あんまり気持ちよさそうに歌ってたからよ。

ん…ハッ!観客はもう待ちきれねぇってよ。んじゃぁ、もっと気持ち良い音響かせてやるか?」


「あぁそうだな。…任せる。」


イントロすら辛抱できない耳なし芳一バカ共なんぞにはもう興味を失って、構えた指を弾いた女が舌なめずりをする


「珍しいじゃねーか。なら最っ高にハイにしてやんぜ。黙ってイくんじゃねぇぞ?」


指を弾く度に音が生まれる。彼女は刀神。放つフレーズ、爪弾くピック、すべてがこの場を制しステージを盛り上げる音楽バカイカレ野郎


バスドラムが鼓動を揺さぶる。ベースの重低音が鼓膜を引っ張る

シンセが足取りを軽くし、掻き鳴らすギターが目を釘つける


演奏開始ミュージックスタートだ。轟。」


「お前のロックを歌いなッ!相棒!」


心臓アンプを揺らして刀遣いマイクが歌う


 ― Time to ROCK and Roll Time to Lose Control

    Time to ROCK and Roll Time to Take Control


   Time to ROCK and Roll Time to Lose Control

    Time to ROCK and Roll Time to Take Control


 ― パーティの時間だ 理性は要らない

    パーティが始まるぞ ミスはするなよ


ドラムより強く地を踏み締める


― Knick Knack Patty Whack Bring it all around

   Hut one Hut two come fool these clowns

    Tell these fools how the hell I get down


― ワン、ツーと数えれば愚かな道化の首が飛ぶ

   このライブの楽しみ方が分からないだって?


「余計なことは喋るだけ無駄だ。遊びじゃ済まさない。」


そうだ!アイツの名前は轟三界、イカレた女だ!

そうだ!コイツの名前は瀬音韻、イカレた男だ!


目にも留まらない獣となって斬撃だけが悲鳴を残す


― Bulletproof Hummer, SUV, so roll up to my bunk baby

   Guns so big I'll leave you crazy


― 防弾仕様のハマーやSUVに敵うと思ったのか?

   コイツを向けられた途端アンタは狂っちまうだろうな


― Blap Blap Fallback

   Time Time Time Time to Attack


― バン!バン!尻尾を巻け!

   襲え!襲え!襲え!怯えろ!


キャディラックみたいに身を乗り出してお前らに終わりを告げに来たのさ

リクエストは何だ?UK?レゲエ?ディスコ?それともメタルか?


「一つだけ教えておいてやるぜ。ここじゃリズムに乗れない奴はいらねぇ。」


― I don't give a damn if you think I'm rude!

   Doesn't really matter I'm not into you!


― お前が私をイカレ野郎だと思おうが知ったこっちゃない

   心底どうでもいいんだよ お前みたいなちっぽけはな


「幾ら薄汚ねぇ金を積まれようが、浴びるスポットライトよりも多く銃を突き付けようが変わらねぇぞ?」


「引き返せるのは今だけだ。お前ら程度じゃ俺らを邪魔できない。」


― You kids that hate my attitude

   Musics , Talk you're not a friend to me


― 私のことが気に食わないガキ共がいるって?

   黙れ音楽こそが全てだ 友達でもないお前が出張るな


与えられた任務は妖魔の掃討。プロの世界に失敗はない

妖魔の生み出す憎しみの連鎖を断ち切れ!


― Comrades so loyal... Uh You fear her soil

   Slip and slide like baby oil


― おやおや…なんだ怯えてるのか可哀想にな

   ベビーオイルでも塗って滑っていったらどうだ?逃げられるならな


キャデラックの唸り声よりゴキゲンに追い込んで、忍者のように忍び寄ってその首を無様に晒してやろう


― Time Time Time Time to Attack

   Time Time Time Time to Attack


― 襲え!襲え!襲え!怯えろ!

   さぁ、狩りの時間だ もう誰も残っちゃいないがな



足音。


「~♪」


一人の男が歩いている。ヘッドホンを耳に歌を口ずさみながら。街の中へ。

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