いつか来た道、知らない街角

春嵐

01

 いつか来た道。でも、知らない街角。

 夢か。

 手の感覚も、道を踏みしめる脚も。自分のもの。街の景色と道だけが、ちょっとだけ違う。いつも歩く道で、それでいて、いつもの何かがない街。

 夢が覚めるまでは。このまま。歩いていく。

 どこか落ち着く。そう。昼なのに、灯りがある。ネオン。いや、夜か。空に星があって。それでいて、明るい。

 寝る前に、電子空間の景色見るやつをやってたからだろうか。あの、仮想空間の町並みを馬車の後ろから眺めるやつ。あれも綺麗だった。そのまま夢になってる。

 夢の中でも。自分は、自分で。いつも通り歩く。

 この幻想のなかに。

 そうやって歩くうちに、ちょっとだけ引っ掛かって。手が。繋がれる。

 あなたが起こしてくれるまで。

 歩く。

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