親不孝
一ノ瀬
第1話
いつだったか忘れたけど、たぶん年明けくらい。
私はこの世の全てがどうでも良くて学校にすら行かなくなり、家に引き篭っては永遠に「死にたい」と繰り返し、母親を散々困らした。
原因なんか分からない。ただ、この先、生きていても意味が無いと思ってしまった。親の不仲での離婚、学校生活での悩み、幼い妹の世話、友人間のトラブル、就職活動・・・。考えるだけで、体が重くなっていく。自分一人では抱えきれなくなってしまった。勿論、こんなことで悩むなんて馬鹿らしいと思っていた。それでも、考えることを辞められなかった。
学校に行かず、薬と自傷におぼれ、どうして学校にすら行けないんだと自分に落胆する毎日。
母親だって仕事で疲れて帰ってきて、帰宅した途端娘が憂鬱そうな顔をしているのを見るのは精神的にキツいと思う。そこまで配慮できなかったけれど。
母と何回も衝突した。
「死にたいのにどうして死んじゃダメなの」
それに対する返信が
「せっかく生まれてきたのに死ぬなんて悲しいこと言わないでよ」
そこで何かがプツンと切れた
普段なら理性が効いて言ってはいけない言葉は上手く呑み込めたのに。
「勝手に産んだくせに。私は産まれたいなんて言ってない」
その時の母親の悲しそうな顔は未だに思い出す
ごめんね。こんな娘でさ・・・
今なら言われて悲しいと思うだろうなと思えるのに。
私は弱いからすぐに逃げてしまう、悪い癖。
死にたいならさっさと死ねよって話だよね。
普通に生きたいと望めるような、そんな子になれなくてごめんなさい。
五体満足で産んでくれたことに感謝すべきなのに。わたしには無理みたい。どうか私が死んでも、悲しまないでね。
親不孝 一ノ瀬 @suzu_k_
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