第4話
俺は怒りに任せて裸で抱き合う男女を引き離しにかかりたかったが、部屋のなかに一歩入ろうととしたら、呼び鈴が鳴った。
ピンポーン!
乾いた音で。俺を少し冷静にするのには
充分だった。
「シンジ、誰か来たみたいだぞ」
「俺らの邪魔するより、客人が来たみたいだから階下に降りろよ」
「ま、訪問販売か何かかもしれないがな...」
「さ、とっとと出てけよ」
兄貴はそう吐き捨てるように言い、
しっしっとまるで犬でも追い払うかのように
手の甲を俺に向けて激しく振ってみせた。
全くもって気分が悪かった。
俺は、
「....っ!」と舌打ちして、
階段をドタドタと降りた。
やがて、
玄関の鍵を開けて、誰だろうと訪問者を確認したら、兄貴の大本命彼女が軽い微笑みを称えてそこにいた。
兄貴と同じ県下トップの進学校。
才色兼備の美少女だった。
彼女の名前は確か、
林ユーコさんだったか...
「こんにちは。お兄さんいるかな?」
そんな問いかけを受けた俺は。
迷った。
一瞬悪い考えが浮かんだ。
彼女を家に上げて。
階段を昇らせ、浮気現場である部屋まで
連れて行く。
そしたら、どうだ。
絶対に破局してくれるんじゃないか?
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