オハナシノくに

ゆでそばのきりる

第1話 始まる

「ここが、世界最大の交易所、トールラスト王国かー」

 小柄な体で目の前にそびえ立つ巨大な門を見上げる少年らしき人物が一人。

【ランドロード】最大の国【トールラスト王国】そこは何万人もの人々が日々生活をいとなんでいる、正に日常、平和をそのまま体現したような国であった


「あらあらかわいらしい坊やねぇ、こんな国に何しに来たの?お使いかしら?」

「ちょっとやめてくださいよ!これでも僕はちゃんと成人の施しをした立派な大人ですよ!」


突然大声を出した男性に周りの通行人たちが一斉に視線を向けた。

「あっすいません…」

そう小声で謝罪する彼を横目に、通行人たちは再び足を動かし始めた。


「あらごめんなさいねぇ、あまりにもちっちゃくてかわいいお顔してるものだからついねぇ」

「もういいですからアルプ3つください」

そう言うと中年の女性店主は店先に並ぶアルプを4つとって袋に包み始めた。

「僕は3つと言いましたけど…」

「さっきのお詫びよお詫び、それにいっぱい食べないといつまでたってもちっちゃいままよ」

「余計なお世話ですよ!」

再び通行人がこちらを向く、彼があたふたしている様子ににその店主も通行人も笑っている。

その矛先となっていた彼は今さっき購入したアルプのように顔を真っ赤にして走りさろうとしていたが、お釣りをもらい忘れたことに気づいたのか走って戻ってきた。


そんな彼だが、数日後、皆が彼のことをこう呼ぶようになる

      


      〈囚われのアリス〉

 

         と…

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