振り出しに戻る
午前中、家族で小旅行を楽しんだ後、リチャードお義父様、チャールズお義兄様、アヴァリンお嬢様は仕事で城へ向かい、ブレンナお義母様は屋敷の工房の大掃除の続きに、シンロブモントおじさまは執務室で事務作業に向かった。
「なぁ
「あなた飛ばしすぎね」
日本で得た廃油とこちらで得た廃油は混ぜないことにした。ほら、油の質が違うと性質も違うわけだし、安全性を考慮して。
「やっぱりどこか、料理店で、油を下さいって回った方がいいかも知れないわね」
子守をカーライルたちに任せ、城下町に降り、お惣菜屋さんを回ると、「回収に来る前だったら分けてやってもいいぞ」と、色よい返事をもらった。大抵の店では、開店直後なら分けてもらえるらしい。
油の問題が片付くと、屋敷に戻り、
『時間が中途半端だし、今日はお勉強しましょうか?』
『まずは基本文字から練習しましょう』
子供たち2人にまずは書き取りの練習をさせる。
前句として、初心者向けとしては、「天におわす父なる神よ、地におわす母なる神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」で大抵は通る。他に、ピンポイントで狙うとしては、空向けとしては、「天におわす父なる神よ」、地・土木向けとしては、「地におわす母なる神よ」、水系としては、「大地を潤す大いなる水の神よ」、風・大気向けとしては、「大気を潤す大いなる風の神よ」、熱、炎、爆発系向けとしては、「熱風荒れ狂う大いなる火の神よ」、氷、冷風、寒さ系としては、「寒風吹きすさぶ大いなる氷の神よ」に続いて、「我に大いなる力を分け与えたまえ」で、
他にも、マイナーな神様だったり、高度な魔法のときにしか使わない神様だったり、マイナーすぎて、忘れ去られて今では誰も知らない神様だったりが
『旦那様、お坊ちゃま、姫様がお戻りになりました』
その知らせで玄関ホールでお出迎えである。
『うむ。ただ今戻った』
そして、夕食。
『そう言えば、いつまで屋敷に居るつもりなのかね?』
と、リチャードお義父様が聞いてくるので、
『明日、朝には
と、
夕食の後は作戦会議だ。
『魔法の基礎練習の途中だったでしょ?慣れるためにあれをもう少し続けたいのよね』
ということで、明日からしばらくは荒野で魔法の練習に決まった。
次の日、目覚めて朝食を
『アクセルを少し踏んでちょっと回転を上げてからクラッチをゆっくり戻して…』
カーライルに運転を教えながら荒野を目指す。MTは、走り出しだけが面倒で、速度に乗ると、快調に目的地に進んだ。
『運転とは緊張するものですな』
『じゃぁ、カーライルは少し休んでなよ』
他のメンバーは元気なので、この前と同じようにバラけてそれぞれ練習を始めた。
『熱風荒れ狂う大いなる火の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。ファイアーボール!』
おぉ、この前より少し、威力が上がった。
『寒風吹きすさぶ大いなる氷の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。アイシクルボール!』
氷の玉に、
『熱風荒れ狂う大いなる火の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。ファイアーアロー!』
火の矢に、
『寒風吹きすさぶ大いなる氷の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。アイシクルアロー!』
氷の矢に、
『天におわす父なる神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。サンダーボルト!』
落雷。どれも威力が上がっている。
学んだ成果を感じつつ、魔法の練習は続いた。
「何だか疲れてきたー」
「苦い-!」
そうこうして練習していると、3時になった。夜の心配をしなければならない時間である。
カーライルに運転をしてもらいながら話をした。
『この近くといえばクロドリフの森でしょうか。そちらに向かっています』
車はしばらく走り、クロドリフの森の外れに着いた。
『ここで今日は休みましょう』
テントを張り、石を積んでかまどを作り、
そうこうしている間に夕食もでき、みんな
『明日はどうする?』
と、俺が聞くと、
『あなたと同じように前句を使い分けることを子供たちに教えましょうか』
と、子供の鍛え方の方針が決まった。
そうして荒れ地とクロドリフの森の往復をした。
『そろそろ食料も心許ないし、明日は王都へ帰りましょう』
そう言いだしたのは、数日が
次の朝、朝食を
『燃料が不安だから今日は俺が運転するわ』
走り出してしばらくすると、プスンといってエンジンが止まった。完全にガス欠である。俺は後ろのタンクから燃料を補充し、
『えーっと、この画面で、ごうだったな』
センターコンソールの画面をいじってからエンジンをかけた。
センターコンソールの外面には「調整中」の文字が表示され、しばらくすると、「調整終了」の文字に変わり、通常画面に戻った。エンジン音は、最初は不安定だったが、「調整終了」の頃には安定して回転していた。
この車、どこまでサービスが行き届いてるんだよ!
燃料の不安がなくなり、カーライルに運転を代わり、荒野まで走った。
魔法の練習をして3時になった。一旦王都に戻る時間だ。
『門の手前で運転代わろうな』
『そうそう、いい調子。で、そのまま前に集中しながらキープして』
MTは、走り出しだけが面倒なのであった。
門の手前まで来て運転を代わる。ここからは徐行区間だ。
『ねぇ、ちょっと王城へ寄ってくれる?』
王城へ着くと
『武器保管庫へ案内してもらえるかしら』
そう、城の使用人に伝えた。
久しぶりに来る武器保管庫。最近、剣の鍛錬をしていないのに、ここに何の用があるのかと思っていたら、
『あ、やっぱりあった。杖』
『二郎にはこれでしょ、ハナちゃんにはこれ、フウ君にはこれで私はこれ』
どれもこれも木の杖だ。違いと言えば、長さが身長に合わせてあるくらいだ。
『さぁ、ここでの用も終わったし、バーンクリット邸へ行くわよ!』
『お嬢様とご家族の
門番とそんなやり取りをし、俺は車を玄関に回し、
『またご厄介になる』
そう告げて屋敷に入ると、
『お姉様方、お帰りなさいませ』
アヴァリンお嬢様が出迎えてくれた。
夕食のときは今で歓談し、風呂に入って眠った。
明くる朝、やはり俺は一番に目が覚めた。
俺は身支度を済ませ、キャンピングカーの
そして、惣菜屋を
タンクがいっぱいになり、キャンピングカーに補充するためバーンクリット邸へと戻ると、
『あなた、しばらくはこのお屋敷にお世話になるわ』
そう
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