閑話 休憩Ⅰ

「ここから魔王領への話になっていくが……少し休憩しようか」

「何か飲み物を持ってくる。何が良い?」

「マリンはジュースが良い!」

「俺は水でいいぞ」

「分かった」


 シエスが部屋を出た瞬間、床がいきなり輝きだした。


「ユッキーーー!!」

「お父様ーーー!!」


 光の中から頭に小さな角の生えた蒼髪の女性と、同じ髪色の4、5歳程の女の子が現れ、そのまま悠貴に抱き着いた。


「おっと……家の仕事は終わったのかレイリス?」

「終わったわよ。まぁ、面倒な仕事はアイツに押し付けてきたけどね」

「アイツも苦労するな……」

「ユッキーに早く会いたかったんだからいいじゃない」


「お父様、みんなで何をしてたの?」

「マリンがお父さん達の話をまた聞きたいって言ったから話してたんだよ」

「私も聞きたい!」

「ならあたしも付き合うわ。どこまで話したの?」

「俺とシエスがロゼ王国から出て、魔王領に来たところまでだな」

「ってことは、そろそろあたしが出てくるのね」

「そうだな。だが、話を再開するのはシエスが戻ってきてからだな」

「シエスは何処に行ったの?」

「飲み物を取りに台所へ行った」

「手伝ってくるわ」


 レイリスはそう悠貴へ言うと部屋を出て行った。


「ミネルちゃん、どこでパパ達のお話聞く?」

「う~ん……マリンちゃんと同じ、お父様の膝の上がいいなぁ~」

「マリン、少しずれてくれるか?」

「うん!」

「ありがとうマリンちゃん」


 マリンをずらし、ミネルを自身の膝の上に座らせた悠貴は、2人とスキンシップしつつ、シエスとレイリスが戻ってくるのを待った。



 数分後、水やジュース等が入った瓶を数本、人数分のコップをそれぞれのお盆に乗せて持ってきたシエスとレイリスが戻ってくる。


「お帰り」

「いきなりレイリスが現れたから少しビックリした」

「あはは、ごめんねシエス」

「いつものことだから問題ない。マリンはジュースだったよね?ミネルもそれでいい?」

「ジュースでいいよ、シエスお母さん」

「わたしとユキが水で……貴女はどうするの?」

「あたしも水でいいわよ」

「了解」


 飲み物をコップへ注ぎ、各人へ手渡した後、シエスは悠貴の左隣、レイリスは右隣へと座った。


「さ、続きを話してちょうだいな!」

「なんか、やけにテンション高いなレイリス」

「あたしとユッキーの出会い編だからテンションも高くなるわよ」

「そういうものなのか?」

「そういうものなの!」

「パパー、早く話してよー」

「お父様、早く早く」

「悪い悪い。そんじゃ、続きを話していくぞ」


 娘2人の頭を撫でながら悠貴は続きを話し始めた。

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