第二章 魔王領前編
第12話 首都バベル
バルバ達魔人族に連れられて約1週間。俺達は魔王城のある、首都『バベル』という場所に着いた。
首都と呼ばれるだけあって、門もかなりでかいな…
『ドルガ』の街にも門はあったが、それの倍くらいのデカさだな…大体15メートルくらいか?
「ユキ殿、シエス殿、此処が魔王領首都、バベルという
「やっと着いた…」
「そうだな…で、バルバ、どうやって入るんだ?」
「こっちだ。その門は防衛のための門だから基本開かないのだ」
「だからこんなにもでかいのか…」
そのままバルバの後を付いていき、門の近くにあった出入口から中へ入った。
「うわぁ……」
「……………………」
「どうだ?魔王領首都バベルは」
「すっごく大きい上に賑やか」
「だな………」
人?の多さと、この都市の大きさに目を剥いたが、それよりも気になったことがある。
「おいバルバ、ここは魔王領なんだろ?何故ドワーフやエルフのような亜人もいるんだ?」
「それはだな、魔王様が敵対しないのであればここに住むことを許可したからだ。まぁ、人間は基本例外だがな」
「なるほどな」
「ということは、ここに来た人間はユキ以外にもいるの?」
「恐らくいるだろが、我の知る限りはユキ殿が初めてだ。魔王様の側近の魔人族達なら判るかもしれん」
「そいつらはかなり前の時代から生きているのか?」
「あぁ、1番長く生きておられる方は、約2000年前から生きておられるらしい」
「そいつと会えるのか?」
「もちろん会えると思うぞ。魔王様との謁見の際にな」
「隊長そろそろ……」
「分かった。お前達は一足先に戻れ。我はユキ殿とシエス殿を宿へ案内してから魔王城へ戻る」
「了解です」
「ユキさん、その女は我々が預かります」
「頼んだ」
バルバの部下2人の女の魔人族、ファニスに零条を渡した。
「んんーーー!!」
「大人しくしなさい『
「んん……」
「すまん、手間をかけさせたな」
「いえ、この程度なら問題ないですよユキさん」
「ファニス、今更なんだが……初めてユキ殿と会った時と、今との態度が180度違うな…」
「当然です。ユキさんの料理は格別なんですから!」
「……すまんなユキ殿」
「俺は全く気にしていないから問題ない」
ここに来る道中で、魔物を使った料理を振舞ったら、バルバの部下2人共何故か俺への警戒が無くなった。
シエスが言うには「ユキの作る料理が美味し過ぎるのがいけない」だそうだ。
「では隊長、私とアルゴはこの女を連れて先に戻ります」
「ユキ、シエス、後日魔王城で会おうぜ」
「またね」
「またお会いしましょう『
ファニスが
「ユキ殿、シエス殿、我らも移動しよう」
「ここが貴殿らにしばらく泊まってもらう宿屋、エオスの宿だ」
ファニス達と別れて約10分、俺とシエスはバルバの案内の元、宿屋に着いた。外観の大きさからして、それなりの規模の宿のようだ。
それと道中、バルバがすれ違う住人達に挨拶を交わしていた。住人達の反応を見るに、圧政などはされていないようだな。まぁ、それは表面上だけであって、裏ではしているのかもしれないがな……
「バルバ、宿を案内してもらったはいいが、人間の国の通貨しか持ってないぞ」
「その事なら心配いらない。我が一先ず一月分出しておくからな。それでユキ殿、シエス殿、右手の手のひらを我に見せるように出してくれ」
「これでいい?」
「すまないな」
右手の手のひらをバルバへ見えるように差し出すと、バルバは俺達の手のひらに‘何か’した。
「バルバ、何をしたんだ?」
「貴殿らの手に小さな魔方陣を刻ませてもらった。簡単に言えばマーキングだな」
「なんでマーキング?」
「後日、魔王城へ案内する際に、貴殿らを探す手間を省くためだ。後、シエス殿はエルフであるため特に心配はいらないが、ユキ殿は人間だからな。万が一の事が起きた時の保険でもある」
「つまり、こいつがあれば、俺がバルバと繋がりがあるから基本手出しされないということか?」
「そういうことだ。では中へ入ろう」
中へ入るとシエスと同じくらいの背格好で、頭に獣耳の生えた女が俺達を出迎えた。
「いらっしゃいませ!ってバルバさん!」
「久しぶりだなファル。突然で悪いが、この2人をとりあえず一月泊めてほしい」
「バルバさんの後ろにいる方達ですか?って人間!?」
「この人間は我が招待した者だ。何かあった時は我が責任を取るから安心しろ」
「なら大丈夫ですね。それで、2人部屋と1人部屋どちらにします?」
「我はどちらでも構わないぞ。金なら有る」
「気を遣ってもらわなくても大丈夫だバルバ。2人で構わない」
「わたしは寧ろ2人一緒じゃなきゃ嫌だ」
「そ、そうか…ではファル2人を頼んだ。ユキ殿、シエス殿我はこれにて失礼する。後日、魔王様との謁見の日程が決まり次第迎えに来るからな」
「分かった」
「またね、バルバ」
「『
バルバは
「では、ユキさんとシエスさんでしたっけ?まずは自己紹介させていただきますね。私はファルと言います」
「俺は矢神悠貴」
「わたしはシエス・ノワール。よろしくファル」
「はい、これからもよろしくお願いします。ではこの宿の説明をさせていただきますね」
ファルの説明によると、この宿は一泊2食(朝と晩)付きだ。受付をする際に木版を手渡され、それをこの宿の食堂いるやつに見せると食えるそうだ。風呂に関しては宿の近くに風呂屋があるからそちらを使ってくれとのこと。
「簡単な説明は以上ですけど、何か質問等はありますか?」
「この
「中央区にお仕事を斡旋してくれるところにいけば、お仕事を受けることができます。ただ、エルフのシエスならともかく、ユキさんは人間なので、仕事を紹介してくれない可能性があります。バルバさんの関係者だと言えば多分大丈夫だと思いますが…」
「解った、説明ありがとう。明日、そこへ行ってみるから地図を用意してくれるとありがたい」
「了解です。シエスさんはなにか質問あります?」
「わたしは特に無い」
「では、部屋に案内しますので付いて来てください」
「ここがユキさん達にしばらく泊まっていただく部屋です。何か困ったことがあったら言ってくださいね」
俺達を部屋へ案内したファルはそう一言言うと、鍵を俺に手渡して戻っていった。
それで、案内された部屋だが…前に休憩した仮眠室の倍ほどの広さ。家具は、ベッドが2つあり、2人で食事しても大丈夫そうな程の少し大きいテーブルと椅子が2つあるだけだな。
「シエス、今日は特に何もせずに過ごすぞ。動くのは明日からだ」
「ん、分かった」
明日の予定をある程度シエスと話し合いながら過ごした。
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