第10話 引っ越しと掲示板






 大したトラブルも無くレベリングミッション2をクリアしたジンだが、雑な操縦によってアルゴンはそれなりのダメージを受けていた。

 それだけであればネイトに怒られるのだが、ジンは同時に多くの戦闘データも獲得している。

 そのお陰で彼女は小言を言う暇も無く、アルゴンのメンテナンスに取り掛かった。


 こうして小言を回避する事に成功したジンだが、後になって自分に出来る事が無い事を思い出す。

 何せ彼は他に機体を持たず、アルゴンを整備する技術も持たない。


 結局彼はメビウスの探索を少し行いログアウトしたのだが、現実に戻ったとしても迅翔はやとにする事は無かった。


 そんな暇で暇で仕方ない彼の元には、紅葉いろはが訪れていた。

 何やら重要な話があるらしく、ES社で再開した時と同じくスーツを着ている。


「――引っ越しの……準備?」

「言ったでしょう? ジンにCAをやって貰うのは、あくまでも私達からの“依頼”だって」

「あ~、まぁ確かにそうだったような……? いやでもCA自体が報酬だと思ってたわ」

「そんなケチな事しないわよ。依頼には報酬がある物よ?」


 迅翔が住むその部屋は、お世辞にも“良い場所”とは言えない。

 彼自信も近々引っ越しをしたいとは思っていたのだが、金と時間が無い……そして何より、手続きが面倒という理由があり引っ越さずにいた。


「あ、良い忘れてたけど書類手続きはこっちでやるわ。だから残るはジン本人の意思と荷物整理ね」

「……マジ?」


 迅翔にとって一番わずらわしく思っていた所をやってくれるならば、そこに断る理由は存在しない。

 必要最低限、迅翔自身が目を通し記入する必要がある書類を完成させて紅葉に渡した。


「あ……勝手に色々話を進めておいて今更だけどさ。ジンはこれで良かった?」

「おう、正直このボロ屋もさっさと出て行きたかったからな。丁度良いタイミングってやつだよ」

「なら良かったわ。……それともう一つ、あの機体アルゴンは乗り続けてくれる?」

「当たり前だ。まぁ本音を話すなら、VFの引退で少しは暇が出来るかと思ってたよ。だが良くも悪くも、そんな事は無かったな」

「……暇の多い人生はつまらないものよ。暇が少なすぎれば疲れるかもしれないけど、暇があまり無くて予想外の出来事が連続する人生の方が楽しいでしょう?」


 紅葉は肩をすくめながらそう言った。

 暇の無かった前の迅翔であれば同意出来なかったかもしれないその言葉だが、暇の多くなった今の迅翔にはどこか理解出来る部分がある。


「そうだな。……まぁ今は機体のメンテ待ちですげぇ暇だけど」

「じゃあ掲示板を見てみたら良いんじゃないかしら」

「あ~、アレか……」

「結構有益な情報が流れてるから、暇な時にちょこちょこ見ておくと良いんじゃないかしら」


 紅葉から示された掲示板、それはゲーム次第でワールドチャット等と言われたりするような物だ。

 掲示板の存在するゲームをプレイしている時であればどこからでも参加する事が可能であり、そこでは常に様々な会話が繰り広げられている。


 CAの場合は文字通り掲示板型であり、匿名での文章や画像の投稿がメインとなっているそうだ。


「……さて、私は今日の用事も終わったし帰るわ」

「おう、じゃあな」


 そうした説明までを終えた紅葉を見送り、ジンはESGを被って再びCAへログインした。






――――――――――――――――――――






【過去を】世界観考察 Part1【振り返ろう】

1:名無しのリンカー

ここはCAの世界観を考察する板です、新規勢にも分かりやすく解説する事

雑談は程々に、無闇に他人を傷つけるような発言はしないようにして下さい

下手な事をするとバディにめっちゃ怒られて機体を動かせなくなっちゃうぞ!!






413:名無しのリンカー

かなり脱線したな、話を戻そう


俺達プレイヤー(リンカー)が最初に目覚めて以後ずっとお世話になってる場所が超巨大人工衛星メビウス

んで戦場になってるのがルブルム・テルース、通称はルブルムね



414:名無しのリンカー

ルブルムの大きさは地球位らしいが、それを丸ごと取り囲むとか馬鹿だろ……



415:名無しのリンカー

>>410

おまっ、お前ェ!! ナイスゥ!!!


……あ、そういえば今メビウスに居るNPC達も元はルブルムに住んでたらしいな

βテスト中に移住イベントがあったとか聞いたけど



416:名無しのリンカー

>>414

当時は他にやりようが無かったらしいからね、仕方ないね……

まぁそれを加味してもかなり無茶苦茶で馬鹿みたいな計画だったと思うけど((



417:名無しのリンカー

んな事になった全ての始まりはNPCの無計画なエネルギー使用が原因だが、本当にこうなった原因は大体クァドラン粒子関連の発見にある……だったっけ?

確かRBSで何かの番組になってたろ



418:名無しのリンカー

研究中の良く分からないやべー粒子を頼らないとダメな辺り、相当追い詰められてたんやろうなぁ……



419:名無しのリンカー

イニティウム鉱石からクァドラン・キューブに、そこからクァドラン粒子へ……

結構複雑な工程を踏んでるけど、効率と出力は手間に見合う位ヤベーイ! らしい

戦闘職だから詳しい事知らないけど



420:名無しのリンカー

イニティウム鉱石と平行で研究されていたのがルフス・エフェクターね、攻略組が『ラスボス何じゃねぇの?』って言ってる奴

そいつは劣悪な環境を改善する為に作られたAI……と言うよりは機械生命体だったらしいんだけど、何やかんやで暴走したらしい(整備士のおっちゃん談)


あと度々出てくるルイーナってどこッスか()



421:名無しのリンカー

そっからまた何やかんやで第一世代CAロールアウトして、ルブルムとエフェクターの開発競争が始まるだっけ?

確か第四世代でとんでもない不具合見つかったとか聞いたけど……


『何やかんやって何だよ』って思うだろうけど、マジで深すぎるからRBSの特集見てくれた方が早い



422:名無しのリンカー

そうそう、何か性能引き出し過ぎると自爆してクァドラン粒子を死ぬほどバラ撒いてたらしいんだよね

お陰で少ない生存圏が更に少なくなったモンだから、すぐに死ぬほどリミッター付けた第五世代が来たらしい


まぁ今の第九世代は死ぬほど死んでも、死ぬほど粒子撒く事にはならないらしいけど



423:名無しのリンカー

>>420

現状だと雪山=ニックス大陸のどっかにあるって言われてたはず

何かメビウス側もトップシークレットにしてるからマップに情報載ってないし、吹雪で視界悪いし、敵居なくて稼ぎ悪くて誰も行かないから細かい所は全然分かんないけど……()


>>421

RBSって何ぞ



424:名無しのリンカー

んで第五世代辺りから出現するグルムがカテゴリー2系になるんだったか?

本当に運が悪いよな……



425:名無しのリンカー

第四世代を全部第五世代に入れ替え、戦力が劣っている時に敵の新型が登場……とてもヤバいね!



426:名無しのリンカー

>>423

ggrks……って言うのも酷か

ユニオンルームとかプライベートルームにモニターあるでしょ?

適当にイジってたらメビウスで放送してるテレビが見れるねん、滅茶苦茶作りこんであるから暇な時は眺めておくと良いぞ!!


普通に見入ってて、待ち合わせに何回か遅れた((



427:名無しのリンカー

第五世代しか無い時にカテ2が来てとてもヤバいから例のバカでかい第六世代が開発されたと

極一部のエース専用機らしいけど、平均全高が第九世代の約三倍っていうコレもコレで馬鹿みたいな設計だよな……


>>426

ユニオンルーム……ユニオン……NAKAMA?

ナニソレオイシイノ……RBSはいつも薄暗い部屋で一人寂しく見てますよ……アハハハハッ!!



428:名無しのリンカー

第七世代も一応開発されてるらしいんだけどさ……見た奴居る?



429:名無しのリンカー

>>427

の割に実現しちゃうのがルブルムのヤバい所、メビウスとかメビウスとか今は亡きフォルティスさんの機体とか


あんな化け物を少数でも量産出来てるの何で……?()



430:名無しのリンカー

第七世代は試作機しか無いはず

何でも使用される技術が大きく変わって、とても戦闘させられるような機体に仕上がらなかったとか何とか……


>>427

それやったらバディにドン引きされたんだが、どうしてくれんだ((



431:名無しのリンカー

間髪入れずに第八世代来たからなぁ……

そもそも量産されなかったってのもあるけど、一世代前の機体しか販売しちゃダメって法律がある以上はどうやっても手に入らなかっただろうさ


432:名無しのリンカー

カテ3グルム「俺を忘れてないか?」


>>429

フォルティスさん、良い人だったのになぁ……


433:名無しのリンカー

大体この辺がβテストまでか

ルナクス団長ことルクシオンの活躍はまた…………………………





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