人間だった、人間たち

にゃん助

第1話 進級と友達と、妹と、流れる血

てくてく、、ドスッ!

腰に重い衝撃が加わる

「お兄ぃ〜!!朝だよ〜!」

目を開けるとそこには満面の笑みを浮かべる

俺の可愛い妹の舞がいた。

「あー!うるせぇー!

起きるから俺の上から降りろよ!」

「はぁーい」

はぁ、、、

ついにこの日が来てしまった。

「お兄ぃ、朝ごはんできてるよ〜

着替えたら、リビング来てねー」

「お兄ちゃんもっかいねたらダメかな?」

だって今日は、高校の入学式なんだよー!

小中と陰キャやってた俺には、

死んでも行きたくないイベントだった。

いや、死んだら行けないか。

舞の方をちらっと見ると、

これ以上ない笑顔で

「ダ、メ♡」

二度寝を拒否された。

「まぁ、ちゃんと行くけどさー」

「お〜お兄ぃ

えらーい(棒)」

おい、絶対思ってないだろ

ってか、中一の妹にチヤホヤされるのって

構図的にまずいだろ、俺!

リビングでは母が、テレビを見ていた。

うちは母子家庭だから

母は普段、仕事なのだ。

テレビを見ているところを見ると今日は仕事は休みらしい。




「行ってくるわ」

玄関でボソッと一言いって外に出る。

外は雲ひとつ無い晴天で、

暑さで俺を殺しにかかっている

10分も歩くと学校は見えてくる。

「おっ、海翔おっは〜!」

「おっ、莉乃おっは〜」

小学からの幼なじみの莉乃

腰に来るまでの長い黒髪の持ち主で

背は俺よりも少し低め

黒髪のくせして、全然清楚じゃないんだよなぁ

まぁ、そのギャップもいいんだが。

会うのは1ヶ月ぶりくらいだけど

なんか、初めての環境で

知ってる人に会うのって安心するな、、、、

「何組だった?」

「え?ウチ?」

「お前以外誰がいんだよ!」

「1組だったよー」

「マジかよ、俺も1組だった、、、、

実は2組でしたーってオチはないの?」

こいつとは小学1年から中3までずっと

同じクラスだったから、

高校でも一緒はさすがに、、、

ずっと一緒にいるから

別のクラスになりたいんだけどなぁ〜

「何よその言い方!

ウチと一緒は嫌なの?

あー、そゆこと、ウチの体にはもう飽きたと」

「おい!

今知らない先輩に変な目で見られたんだが!!」

入学早々、最低なイメージを

俺につけるのはやめろよォー

俺泣くよ?不登校になるよ?

ってか、童貞という悲しい現実を

俺に突きつけるなー!!

ってか、6組まであって一緒って普通にすげえな


そんなこんなしてるうちに

俺たちの教室に着いた。

「え〜、俺が担任の石倉だ

これからも、、、、、、」

担任の言ってることは無視して

俺は窓の外を見る。

これは、窓際の席の人の特権だな!


放課後

今日は、入学式ということもあり、

特に授業はなかった。

さてさて、帰りますかね

今日のメインの出来事は終わったし、

家でためてた録画のアニメの消費でもしますかね

「海翔〜!一緒に帰ろ〜」

「おけ、早く帰ろーぜ

すげー眠いから」


俺は家のドアを開ける。

異常な静けさ。

普段は、お兄ぃ!とか言いながら

舞が来るのに、その舞の声が聞こえない。

寝てるだけかな、、、、

嫌な予感がするが俺は自分の部屋に

カバンを放り投げリビングのドアを開ける

何気なくリビングの入口からキッチンを覗くと、

そこは、濡れていた。

コップを倒したとか、水道が壊れたとか、そんなレベルじゃなく、濡れていた。

凄く鮮やかな赤が、床を濡らす

それは止まることはなく、こっちにも流れている

俺は動くことが出来なかった

ただただ、それを眺めた。

現実から目を背けたくて、それが『血』だって

認めたくなくて、

俺は下を向いた。

「あぁあああああああぁぁぁ!!!」

俺の口から、すごく大きな声が出た。

すごく驚いた。

そして、俺の目から大量の水が流れた。

もしかしたらと思っていたことが、

事実に変わる。

声がかすれるほど叫んで、膝をついた

俺がこんなに取り乱すのも仕方ないと思う。



だって、、、、、、、




そこに転がる妹の生首と目があったのだから

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