違……わない

 忘れんぼうの彼女は「傘忘れちゃった」と屈託なく笑う。仕方なく、一本しかない折りたたみ傘を差し出した。

「使う?」

 彼女は「ありがとう」と言ったけど、一向に受け取る様子がなくて戸惑った。

「なんで取らないの?」

 僕の問いかけに、彼女はきょとんとした。

「相合傘しようって意味じゃないの?」

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