第3話

しかし、困った、と

俺はとにかく困惑してた。



美少女のミヒロを前にして

ど、どーしようと思ってたんだ。


ユーマの奴は、


「待て待て待て!山吹なんかより、

俺と付き合お!俺のが山吹より男前じゃん!

背も2センチ高いんだぜ!勉強だって俺の方が1できるし、運動神経だって俺の方がいいんだぜ!」


「こいつは吹奏楽部。俺はサッカー部なんだ

(補欠)だけど」


ユーマは補欠だとは言わなかった。

勉強も運動も確かにユーマのができたが、

俺との差は、笑っちゃうくらいない。


50歩100歩だ。


ユーマが数学45点なら俺が44点。


ユーマが100メートル13秒71なら

俺が13秒72。


な、僅差だろ。


そんな変わらないんだ。


ユーマがミヒロの前で滅茶苦茶、俺すげーんだぜ、かっけーんだぜ!とアピっていたが、

ミヒロは顔色ひとつ変えなかった。


ちらりとユーマのこと見ただけで、

あとは俺のことずーっと見てた。


やがて、ユーマがキレて、

「なんだよなんだよ!もーいいよ!

シンジも、どーして告白されてるのに、

オッケーしないかね!?」


とぶーたれた。


告白しないのは

なぜかって?


その訳はちゃんとあるんだ。


俺はな、ミヒロじゃなくて、

俺の幼馴染で、ミヒロの姉のマヒロのことが、物心ついた頃から好きだったんだ。


だから、返答に困ってた。


それだけのこと。


そうこうしているうちに。


タイミングが、悪いとしか

いいようがないんだが、俺の好きな女が

ミヒロの背後から颯爽と現れたんだ。


「お、お姉ちゃん...!」


「ま、マヒロ...!!」

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