「どこまで行けます?」

「もう止まりたい……」

 中組で唯一の女子である猫は長距離は苦手としていた。

「だから僕は逃げたかったのに……」

「俺グライダー持ってるんで窓から逃げましょう」

「この距離じゃ無理だよ」

 後ろには5メートルほどのところに警官。捕まれば一発終了、逆転の余地はない。

「どうします?」

「そりゃ窓割って車飛び乗るしかないやろ」

 そう言って走り続けるパンダとウサギ。

「あと5分で開く!」

「東館大通路の下に移動完了したで〜」

 頼もしい羊の声と地図が完璧に頭に入った狐の声。

「グライダーあるなら飛べばいいよ」

「猫はどうするんです?」

「だから」

『飛べばいい』

 そう意味ありげに笑った猫。どうやら彼らの舞台は整ったらしい。

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