秘密
1
動物の耳が着いたパーカーを羽織った少年2人――緑のパンダと浅葱のウサギは宝石を目の前にニヤッと妖しく笑って顔を見合わせる。二人の耳にはそれぞれ緑と浅葱色のイヤリングが光っているところを見るとどうやら共犯らしい。
宝石を手にした2人はそのまま逃走を図り、盛大に警報を鳴らした。
「赤外線触っちゃった……」
男子のものとは思えない綺麗な手で顔を覆ったパンダに、あちゃーとイマイチ危機感のないウサギ。
美術館に設置されたシャッターが全て降りる音がした。
「なにやっとんねんパンダああああああ!」
「盛大にやらかしたね」
警備側に潜入している紺碧の狐の叫び声と乾いた笑いを漏らす水色の柴犬の声がそれぞれが持つイヤホンから流れた。
「とりま逃げるで!」
「はい!」
そうしてウサギとパンダは走り出した。
「パンダ何したの」
「赤外線触ったらしいっすよ」
冷めた声もそのままに警察の動向を隠れながら眺める青い猫に赤いネズミが隣で答える。
「これは開けるまでに時間かかるかもしれんなぁ」
そう言いつつドライバー席で見事なブラインドタッチを見せる紫の羊がそっと呟く。
「マジですか……」
「しかも警備組にウチらってバレたで」
顔を青くしたパンダに追い打ちをかけるように報告した狐。
「ま、先に逃げさせてもらうね」
そう言って静かに警察を離れた狐からは化けの皮が剥がれる音がした。
「お疲れ〜」
「お疲れ様」
そう言って車に乗った狐はタイピングをする羊と合流した。
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