第3話

あまりにも急だった。

俺は反論したが、

大嫌いな幼馴染マヒロとある日突然、一緒に住むことになった。親父は幼馴染の母親と再婚した事をずっと黙っており、俺に反対されたら面倒だと思ったのか、その辺は不明だが、

もう籍を入れてしまったという。


「それがな、シンジ。新型ウィルスのせいで

水商売を始めとしたサービス業が相次ぐ経営難でな。マヒロちゃんのお母さんも勤務先のクラブが閉店に追いやられて、仕事がなくなり、

家賃が払えなくなっちまったんだ」


「だから、俺たちと一緒に住むことにしたんだよ」


「.....っ!!」


「ごめんね、シンジくん。

本当に急で...私達、困っているの...」


この時。

マヒロは強がっているのか、唇をきゅっと

噛み締めていた。


「そういう事情なら仕方ないです...」


「ありがとう...」


こうして、俺は渋々、マヒロ親子の同居を認めたわけだが、良いこともあったんだ。


俺は母さんが小さい頃に病気で他界してしまったこともあり、女の手料理というものをろくに

食ったことがなかったのだが、夕飯時、

マヒロのお母さんが肉じゃがを作ってくれ、

その味に感激した。


「う、うまい...!」


「ほんとー?良かったぁ!!」


でも、嫌なこともあった。

マヒロと醤油差しを取ろうとしたら

手がぶつかり、マヒロにめちゃくちゃ嫌な顔された。


「ちょ、シンジ!気安く私に触らないでよ!」


「な... !お前がぶつかってきたんだろ..」


「まぁまぁ、落ち着いて二人とも」


美人なマヒロママに宥められ、

事なきを得たが、

折角の夕飯の時間が喧嘩っぽくなっちまってた。



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