第2話

ああー、なんでお前なんだよ...!

俺は心の中でそう叫んだ。


俺の部屋のドアの向こう側から。


「入ってもいいかな...?」


綺麗なソプラノボイスが聞こえてきて、

俺は、とりま、

「はい」と返事をした。


やがて。

ドアが開き、遠慮がちに足を踏み入れた妖艶な女性。ぼんきゅっぽんのスタイル。

茶髪の長い髪の毛、巻き髪にしてハーフアップにしてた。滅茶苦茶美人な女の人。

服装は滅茶苦茶派手。胸の大きく開いた赤いトップス。

下は、黒のタイトスカート。見るからに、

キャバ嬢のおねえさん、て感じ。

てか、水商売やってんだよな、このひと。

銀座のとあるクラブのホステスでNo. 1。

俺はそれを知っている。


それから、その女性の娘が、遠慮という言葉など一切彷彿とさせない所作で、俺の部屋にドカドカ足を踏み入れた。


「シンジ、おじゃま!」


お邪魔します、とは口が裂けても言わず、

男っぽい話し方で、上からそう言ってのけた。


父さんの再婚相手は。


最悪中の最悪。


いや、別に、お相手が悪いというんじゃない。


最悪なのは、受け入れ難いのは、

再婚相手の娘が、俺の幼稚園時代からの幼馴染の真島マヒロだということだ。


マヒロは最早、男。


義妹になるはずなのに。


義弟と言っても過言ではない。


仕草、口ぶり、俺への態度のデカさからして。


大嫌いな奴なんだ!!

昔、俺の家でゲーム機の取り合いをして

喧嘩になった。たしか、あれは小学校の低学年くらいだったか。

口論から始まり、体当たりに発展し、

最後は俺のうえに馬乗りになって、

「シンジ、観念しろ!レディーファーストだろ!」とマヒロが言い出した。


「ま、負けました...」


「フン!男のクセに弱すぎだろw」


俺のゲーム機、なのに、マヒロに取られたのだ。




「父さん!!」


ドアの陰から、ひょっこりと顔を覗かせた

父さんに向かって、俺は嫌な感じを込めてそう呼びかけた。


父さんは至極、申し訳なさそうに、

顔を半分、此方に見せながら謝罪してみせたんだ。


「すまん、シンジ。非常に言いにくいんだが、

もう籍入れちまってな。今日から、てか、今日、このときから4人で住むから。宜しく頼む」


「はぁ!?」


「そんな急な話、飲み込めるわけねーよ!!」


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