第6話 友達との作戦会議2
「第100回!『殿下に嫌われよう作戦!の会』を開催します!!」
そう高らかに宣言したけど、参加者はただ一人。ユリア様だけなのよね……。
でも何故かユリア様は、楽しそうに拍手をして下さっているわ。
「記念すべき100回目ね!おめでとうエイミーちゃん」
「いや。めでたくないです!!!だって入学してから今まで100回も真面目に対策を考えたのに1回も成功してないって事なんですよ!?」
「……え?全部真面目にやってたの?」
「こっちは大真面目ですよ!!!」
そんな信じられない、みたいな顔しないでください!
こっちは真剣に悩んでるんですからね。
「前回は失敗しましたけど、今回はそうはいきません」
「何か良い案があるのかしら?」
「……いえ、もうネタ切れで何も思いつきません!なので、ユリア様の助言を下さい!」
他力本願なのはわかっているけど、助言を聞くのだって大事なことだと思うのよね。
「そうねぇ、殿下を殴り飛ばすとか?」
「まさかの暴力!!!!!?」
「だって、あの顔見るとイラッとするのだもの」
ユリア様はニコニコなのに、何故か目が笑ってないのですけど!?
それ以前に暴力はダメ!私が捕まるわよ!
「イラッとしても暴力はダメです!」
「ほほほ、冗談よ~」
全く冗談に聞こえないのですけど……!?
「じゃあ、他には……引いてダメなら押してみろ作戦とかどうかしら!」
「おお、割とまともですね!」
「殿下が階段を下りようとしたところに近づいて……」
ま、まさか、だだだ、抱きしめるとか……?
「その後ろ姿をズドンっと押して階段から落とすとか!」
「まさかの物理!!!!殺意怖っ!!!!」
ユリア様、殿下のことが嫌いなのかしら……そうじゃなきゃこんな発想にならないわよ!?
「私に殺意なんてないわよ。でもね、エイミーちゃん。素早く嫌われるには、やっぱり相手のことを嫌いだという意思表示も大事だと思うのよね」
「別に、嫌いなわけじゃ……」
「じゃあ、好きなの?」
「すす、好きなんて、死んでもありえません!!」
何、動揺しているのよ!
少し優しくされて、告白されたぐらいで揺らいでたらダメよ!もっと意思を強くもたないと……。
「ふふふ、動揺するエイミーちゃんも可愛らしいわね」
「もう、ユリア様からかわないでください!!」
「からかってなんてないわよ?」
「……へ?」
からかってないなら、一体なんだというのでしょう。ユリア様は大真面目に言ってるとか?
「私はエイミーちゃんで、遊んでるのよ」
「人で遊ばないで!!!!ってか、どっちも対して変わらないんですけど!!?」
「オホホホホ!」
こんなんじゃ、味方と言っていいのかもうわからないわよ。
でも話せる相手はユリア様しかいないし……。
「じゃあ、真面目な話するわね~」
「今までも私は真面目な話してましたけど!?」
「どうして殿下ではダメなのかしら?あんな変態でも国の次期国王だし、王宮ではとても切れ者と言うことで有名よ。文武両道であり何より紳士で優しいとか、だから婚約者がいる今でも婚約者候補になりたい令嬢は多いらしいわ。こんな良物件他にいないわよ?……変態だけど」
ユリア様、最後の一言で全て台無しですよ!?
でも、そんなこと私だって言われなくても知ってるわ。
でも、一つだけ絶対にダメなことがあるのよ。
「私以外の妻がいる人とは、絶対に結婚したくないの……それだけは嫁に出るときの最低条件としてお父様にも伝えてあるわ」
「そこまでエイミーちゃんの意思が硬かったなんて知らなかったわ……今まで適当に案をだしていてごめんなさいね」
今まで適当に案出してたの!!!??
100回もやってたのに!?
「でもこれからは真面目に考えてあげる」
「ユリア様……」
「そんな疑った目をしないでちょうだい。私が本気をだせば殿下から嫌われることも簡単よ」
「ユリア様!!」
疑ってしまったけど、すぐに手のひら返させてもらいます!流石ユリア様は頼りになるわ!
「そうね、嫌われる前にエイミーちゃんは殿下のこと詳しく知らないわよね?」
「確かにそうですね」
「それならまずは、殿下の嫌いな物を知るところから始めたらどうかしら」
「殿下の嫌いな物!確かに考えた事もありませんでした」
流石殿下でも嫌いな物を持った私を見たら、嫌いにならざるを得ないはず!!!
今日は負ける気がしないわよ!!!
そう思って意気揚々と殿下の前に来たのですが……。
「嫌いな者?僕に嫌いな者はないよ??それにしても僕に興味を持ってくれるなんて……」
感激している殿下を見て、私は失敗を悟ったのでした。
「エイミー、僕は君が好きだーー!!!」
いや、寧ろ好感度上がってないかしらこれ?
で、殿下それ以上近づいてきたら困ります。
ててて、手を握らないで!!
「エイミー、結婚しよう!」
「だから、私はお断りだっていってるのに!!!なんでーーーーー!!!!」
こうして、第100回『殿下に嫌われよう作戦!』は大失敗に終わった。
でも、私は諦めませんから!!
そのためには、殿下をもっと知らないと!
なんて、嫌われるために逆に相手のことを知ろうと思ったのが、そもそも間違いなことに私は気がついていなかったのです。
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