第3話 銀座のクラブでなく当店をご利用ください
いらっしゃいませ。会員証のご提示ありがとうございます。
ええ、当店において文春砲を食う心配は、全くありません。ご存知のように、当店の門扉には絶えず『closed』の看板がかけてありますし、入り口の赤鬼・青鬼は飾りではなく本物を地獄の閻魔大王から派遣契約で借り受けている者ですから、不審者や会員以外の人間が侵入して来た場合、金棒で撲殺し、閻魔大王の評決なしに地獄へ送ってやるシステムになっておりますので、『週刊文春』のカメラマンや記者が入り込む隙などございません。銀座に行くよりも安全なのですよ。ホステスは四人でよろしいですね。もちろん、当店No. 1の結衣もおつけします。ではごゆっくり。
また一人、銀座で離党か。こんな時期にバカだよな。緩んでいるんだな。新型コロナの新規感染者が減って来ているし、ワクチン接種も始まった。ワキが甘いんだよ。
えっ、なんで俺のワキを舐めるんだよ、里帆ちゃん? ああそう、甘いものには目がないんだあ。じゃあ、お舐め。やっぱりヤダだって、なんでよ? 加齢臭がする。そりゃあ、俺もいい歳だからなあ。なに? 『柿の葉石鹸』を使うといいの? 真矢ミキがCMやってたやつじゃないよね? あれは健康被害が出たからなあ。俺、厚生労働大臣経験者だからさ、詳しいのよ。放射能汚染されたカイワレ大根やら、小松菜やら、パフォーマンスで食べたしね。あれは当時の『ニュースステーション』の久米宏が反与党寄りの発言ばっかりしてたから、トラップを仕掛けて誤報を流すように仕向けたんだよ。永田町って怖いだろ? そう言うことばっかり考えている官僚がいっぱいいるのよ。それに比べて俺たち国会議員はバカばっかりだから官僚のいいなり。だって、賢かったら、自力で起業して大金持ちになれるから国会議員なんてならないのよ。俺? もちろんバカでーす。だから、みんなにチューしちゃうの。結衣ちゃんの太もも触っちゃ……ええー、なんでご贔屓さんの手を叩くの? ここはキャバクラじゃないだって? おんなじようなもんだろ! 支配人を呼べ!
はい、どうなさいましたか? ああそうですか。申し訳ございません。当店はエチケットを守っていただくよう、会員規則に書いてあるのですよ。読まれていないのですか? そうですか。では、残念ですが当店の会員から脱退していただくことになります。あと、こちらは『週刊新潮』のカメラマンです。お写真いただきますね。
ええ、『週刊文春』のカメラマンはおりませんが『週刊新潮』『週刊朝日』『週刊ポスト』『週刊大衆』『週刊女性』『週刊女性自身』『週刊女性セブン』『フライデー』などの記者やカメラマンは常駐しておりますよ。あなたは夜の飲食だけではなくセクハラもしたので離党だけで済みますかね。覚悟はしておいた方がよろしいですね。ではお引き取りください。次のご来店時には赤鬼と青鬼が手荒に御接待いたします。ではご機嫌よう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます