リア充撲滅部×個性的な仲間たち

碧瀬空

第1話 僕らの回想記


 これは、

 リア充という者たちに

 傷つけられ、リア充を嫌い、

 偏見を抱くようになった

 僕らの物語。


 また、その傷を舐め合い、

 一人と一人を、

 そして仲間を救おうという話。


 

「そういや、今でこそ

 すっかり仲良しだけど、

 初めのうちは

 なかなかだったよね」



 那月くんが話し始めると、

 それに便乗して

 明くんも口を開いた。



「だね。奏なんか、

 初めのうちは視線すら

 合わせてくれなかったし」


「ちょっ、

 それは仕方ないじゃん!

 今さら掘り返さないでよ。

 それに明くんだって、

 触れられるようになるまで

 すごく時間かかってたし」


「そう言えばそうだったねー、

 明は心に分厚い壁を

 持っている奴だから、

 慣れるまでに

 時間がかかるうえに、

 慣れても

 その確証を得られないっていう」



 りっくんは笑いを堪えながら、

 明くんの性格的特徴を

 つらつらと並べた。



「那月くんは

 男子にモテまくってたよねー。

 今でも、その名残りはあるけど、

 女子に人気が出始めたし」



 僕も少しばかり、

 那月くんを

 からかってみることにした。



「その話はホント、

 やめて……黒歴史だから」



 那月くんは両手で顔を覆い、

 あのときの辛さを

 物語っていた。



「じゃあ今は

 大丈夫なんだよね?」



 那月くんが止めようとした

 話題を深く掘り下げるのは

 萌ちゃん。

 それでも一応、

 悪意はないんだろう。



「まあお陰様で、大丈夫かな」



 視線逸らさない辺り、

 それは事実だと

 思っていいはずだ。



「それにしても、あの二人遅いな」



 不機嫌そうに呟くのは

 明くんだった。



「そうだねー。

 でも、二人とも多忙だから

 仕方ないんじゃないかな。

 それに、

 もうすぐ着くって連絡きたよ」



 僕は自分のスマホ画面を

 突き出してみせる。



「そ、そっか」



 頬がほのかに緩むのが

 すぐに分かった。



「へぇー。

 何だかんだ言って、明ってさ、

 一度親しくなったら、

 構ってちゃんというか、

 甘えんぼ? 

 なところあるよね」



 幼なじみである

 那月くんに

 言われてしまったせいか、

 すっかり黙り込んでしまう。



「出逢ったときからすれば、

 こんなに親しくなれるなんて

 考えられなかったよね」



 ふと、頭に浮かんだことが

 口を吐いて出ていた。



「「「「ホント、それ!」」」」



 まだもう少し残りの二人も

 やって来ないことだし、

 少しばかり昔話を始めようかな。

 僕らが

 出逢ったあのときのことを。


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