家に侵入してきた殺人鬼

テレビでこんなニュースがやっていた。

『速報です。一軒一軒家に入り込んで殺し回ってる殺人鬼がいるので戸締まりを忘れないようにしてください!現在、警察も殺人鬼を追っています。もう一度言います、決して外には出ずに戸締まりを忘れないようにしてください。』

という速報が流れていた。


「大丈夫!大丈夫!来るわけ無いんだから。それに来たってやっつければいいんだから。」

と親は言った。


「そんなこと言ってると殺人鬼が来ちゃうよ?ただでさえこの家のみんなは運が悪いんだから。」

自分の家庭はみんな揃って運が悪いのだ。何回か空き巣に入られたこともある。


「ははは、それもそうだね。」


「もう、本当に大丈夫なの?ところでちゃんと戸締まりしたの?」

と自分は言った。


「してないよ?」

あっさりと返答された。


『は?なにやってるの!?戸締まりちゃんとしないから空き巣だって入られるんだからね!じゃあ戸締まりしてくるよ!』

と自分は言い、リビングと廊下の間にあるガラスの張ってあるドア越しから玄関を見ると玄関の方が明るい気がした。


「あれ?誰か廊下の電気付けっぱなしじゃん。」

そうすると廊下に何か清掃着を着て業者のような人が入ってきた。


「親が業者を呼んだのかな?」

と思い、それで一瞬油断してしまった。この油断した一瞬の隙に相手は包丁を持って迷いなく殺しに自分との距離を詰めてきた。


自分はパニック状態だった。まさか本当に来るとは思わなかった。そして服装のせいで自分は心のどこかでまだ清掃の業者なんじゃないかと思ってしまっている。でも紛れもなくこいつが殺人鬼だ。


「ぐっ!入って来ないで!」

自分はガラス越しのドアを開けられないようにするのに必死だった。そして殺人鬼は強い力で無理矢理開けようとしてくる。


この扉のドアノブは下に押しながら前に開けるタイプの扉だった。下に押して開けられるトビラということは向こうが体重をかけられるので有利という訳だ。


そして向こうは大声で「殺ーす!」と言いながら開けようとしてくる。最初は開けられないように自分も粘ったが、少し開いてしまった。その瞬間を殺人鬼は見逃さなかった。


「グハッ…!」

殺人鬼は隙間からナイフをさしこんで脇を刺されてしまったようだ。でもここを通せば一家皆殺しになってしまう。だがしかし、時間が経つに連れて血がどんどんと流れ出ていて、意識が遠退いていく。


家族は今何をしているかというとこんな大変な状況なのにみんな大笑いしながらテレビを見ている。うちの家族はどうやら終わりらしい。


「…………。」

もう自分は力が入らなくなっていた。隙間からはナイフで何度も何度も体のどこかしらを刺されていてとうとう自分は倒れてしまった。


そのあと殺人鬼がリビングに侵入してきた。自分は死の直前に意識が遠退きながら、家族がみんな刺されて悲鳴をあげている声を聞きながら自分は死んでいった。


そして家族全員が皆殺しにされてしまったのだった。みんな、戸締まりには十分に気を付けてね。

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