【ホラー小説】深夜の山奥

自分は夜の山の中で道に迷って懐中電灯を持って歩いていた。それにしても夜の山というのはものすごく不気味だ。夜の山は何かまるで人が入ってはいけないような領域に感じられた。自分は山の中をひたすら歩く。


すると歩いている途中で奇妙なものを見つけてしまった。紙粘土で出来たような人形が何体も木にくくりつけられていたのだ。


「なんだこれ、気持ち悪い…」

と思いながら見ていた。これは一体何に使うのだろうか?それになぜ木にくくりつけられているのだろうか?それにしてもずいぶんと君の悪い人形だ。まるで血色のない人間みたいだ。ものすごく人に似ている。まるで本物の人間のようだ。


そんなこと思って見ていたら、誰かがここに近づいてきた。

ザッザッと足音がする。


見つかったらまずいと思ったので、懐中電灯を消して自分はとっさに隠れた。隠れていたところから、誰が来たのかを観察することにした。


暗くて良く見えないが、何やらやってきた人は刃物を持っている。なぜこんな深夜の山の中に人が入ってきたのだろうか?これは何か異常なことが起きているのではないかと自分は思った。


だいぶ暗闇にも目が慣れてきた。すると先ほどやってきた人間は何やら言葉をぶつぶつと喋り出した。少し遠かったので何を言っていたかは聞き取ることが出来なかった。そしてぶつぶつと何かを言ったあとにその人間は一体の人形の腕を刃物で切り落とした。切り落としたと同時に人形が悲鳴をあげた。


まるで本当の人のような悲鳴だ。そして人形の手からは血のようなものが流れている。それを見て自分は思わず吐きそうになってしまった。刃物を取った人は何かぶつぶつと言いながら次々に手際よく人形の手と足を1本ずつ切り落としていく。そのたびに人形から不気味な悲鳴が聞こえてくる。


自分は怖くなったので、その場から逃げるように去った自分は息を切らしながら走っている。すると山を抜けて普通の道に出ることが出来た。それにしてもさっきの人とあの人形は何なんだったのだろうか?そんなことを考えながら歩いていた。


すると道の先にバラバラになった大きな人形のようなものが落ちているのが見えた。マネキンか何かかなと思って人形に近づいてみた。だがそこに落ちていたのはバラバラになった人形ではなくバラバラになった人間だったのだ。


自分は気持ち悪くなって思わず吐いてしまった。しかもこのバラバラになった人間はどこかで見覚えがあるのだ。そして自分は思い出した。


このバラバラにされた人間はさっき木に括り付けられた気味の悪い人形によく似ていたのだ。それが分かった瞬間に恐怖で寒気が止まらなかった。


理屈はわからないが、おそらくさっきの人形はこのバラバラになった人と繋がっているのかもしれない。人形を傷つければその人間も傷つくのかもしれない。


もうひとつ考えられるのは、さっきの人形は実は小さくされた人間で時間差で体が元の大きさになったということ。


もし後者の場合は、考えたくないがさっき山の中にいた人が自分よりも先にここに来て人形を置いていったということになる。となると近くにいるかもしれない。


自分は完全に足が止まってしまった。分からない今、進むも地獄戻るも地獄と言った感じだ。自分は恐怖でマトモじゃない状態で考えた結果、進むことに決めた。

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