【ホラー小説】空気の通り道

自分は上京して一人暮らしをしていたのだが、とにかく貧乏でお金がなかったなので家にエアコンというものがなかったのだ。正確に言うと壊れていて動かない。


今年の夏場はとても暑くさすがの自分もまいてしまった。ある時、ネットで扇風機を窓に向けると涼しくなるという情報を得た。


その扇風機を窓に向けてるやつとは別に、もう1つの窓を開けておくと空気が流れて涼しいらしいのだ。情報を掴んだら即実行ということで早速やってみようと思った。


今日は運良くか悪くかの寝苦しい熱帯夜だった。まさにネットで得た知識を使う 場面がやってきたと思った。自分は窓を 2つ開けて、もう1つの方に扇風機を置いた。


すると扇風機で室内の空気が外に押し出された。そしてもう1つの窓から空気が流れ込んできた。部屋が涼しくなった。夜風が気持ちいいなと思っていた。


すると妙な寒気を感じた。今までに感じたことのないような寒気だった。何か気持ち悪いなと思って空気の通り道を見ていると窓から窓へと誰かが移動していくのが見えた。


「ちょっと待ってくれ…嘘だろ…!?」 自分が住んでいる部屋は4階建てのアパートで、最上階の4階の部屋なのだ。なので人が通れるような高さじゃなかったのだ。出来れば嘘であって欲しかった。


すると、時を経たずにまたしても妙な寒気が背筋を伝った。だがしかし今回のはさっきとは比べ物にならないほどの寒気だった。


空気の通り道を自分は見ることができなかった。なぜなら本能で目を開けてはならないと思ったからだ。見てはいけない何かが通っているような気がしたのだ。


自分は30秒ほど目を瞑っていただろうか。すると寒気がスッと消えて楽になった。どうやらここは良くないものが通る通り道らしいこれはダメだと思い自分はすぐに2つの窓を閉めた。


これで一件落着かと思いきや、またもや突然に背筋に寒気を感じる。どうやら窓閉めたことによって良くないものが、この家に閉じ込められてしまったらしい。


自分は急いで扇風機側の窓だけを開けた。 そして、しばらくしえどうやら悪いものが家から出ていったらしい。


今日はある意味人生で一番涼しい体験をすることとなったのだった。それ以来、自分は窓を開けるのが怖くなって開けられなかった。そのあとに頑張ってお金を貯めてエアコンを設置しました。

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