[ホラー小説]風呂場に目あり
ある時、私は後ろの髪の毛が伸びすぎていることに、つい気になってお風呂場の前にある洗面台で写真を撮った。
私は鏡に背を向けて私の反射した後ろ髪を撮るように鏡に向かってスマホで写真を撮った。
ちなみに私の家は洗面台の鏡とお風呂場のすりガラスが向かい合っている。私は何枚も何枚もバシャバシャとスマホで鏡に向かって写真を撮った。
「さて私の後ろの髪型どうなってるかな」
私は写真を確認した。
「お、いいじゃん!」
とりあえず私の後ろの髪の毛は異常がなかったので良かった
次の日…
「そろそろ写真を整理しなきゃ容量やばいわ」
私は会社のトイレでスマホの写真を整理していた。
「あちゃー、昨日の写真消し忘れてたか」
私はトイレの便所に座りながらスマホの写真を整理するためにスマホを眺めていた。
そんな時だった。昨日撮った写真に何か違和感を感じた。
「何これ…!?」
何か、すりガラスに目のようなものが写っているのだ。きっと何かも気のせいなのかもしれないと思った。
だが、昨日撮った写真を全て見ると全ての写真に、すりガラスに目がはっきりと映っていたのだ。
私はすりガラスに写っているものが目だと分かった瞬間に全身からぶわっと鳥肌が立った。
私はこの春、就職して今住んでいるアパートに引っ越してきたばかりだった。私は一人暮らしなので家に帰るのが怖くなってしまった。
けど、仕事の忙しさもありその日は昼間の写真の事をすっかり忘れて家に帰ってきた。
「今日も疲れた。毎日毎日仕事ばかりでもう嫌になっちゃう。誰か私をもらってくれる人はいないのかしら。疲れたしさっさとお風呂入って寝よ」
私はお風呂場に行こうとした時だった。
「あー…」
私はこんな時に限って昼間のことを思い出してしまった。写真に写ったすりガラス越しに見えるあの目を。
しかし明日も仕事が早いので私は、えーい!とお風呂場の中へ入っていった。
「ひぃぃぃぃぃ!」
私はまずシャンプーをする。昼間に見た写真が影響しているのか今日はやけに見られているような気がする。
シャンプーをしていて目が開かないが、後ろが気になって気になって仕方がない。私は頭を洗い流す。
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
私が今思っていることは怖いということだけだった。私は頭をシャワーで流し終えて目を開けた。
そして前方の鏡を見る。鏡越しに自分の背後を見る。しかし、私の背後には何もいなかった。
「はー、良かった」
私はそっと胸を撫で下ろした。でもなぜだか変な感じがする。するとまた恐怖が襲ってきた。
前方の鏡に何か嫌なものを感じた。
すると鏡の上の方からスーッ…と一本の横線が降りてきた。私はものすごく嫌な感じがした。
その一本の横線はちょっとずつちょっとずつ降りてくる。
私は直感で分かった。これは最後まで見てはいけないやつだと。その横顔が下へ下へと落ちていくそしてその横顔が鏡が中心に来た辺りで私は風呂場から濡れたまま飛び出た。
私はそれ以来風呂場の前の洗面台と風呂場を使うことはなかった。そして、すぐにこのアパートから引っ越した。
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