【恋愛小説】君のためなら僕は死ねるよ

「ねぇお母様!今日も読み聞かせをしてください!」

子どもが無邪気にそう言った。



「仕方のない子ね。じゃあ、今日は毒を持っていたとあるプリンセスのお話ね。」



とあるところに絶世の美女のプリンセスがいた。誰もが羨む美貌を持っていた。にも関わらずプリンセスには相手がいなかった。それどころ部屋にずっと引きこもっていた。



なぜなら体から常に毒を放っているからだ。誰もプリンセスには触れることが出来ない。綺麗な薔薇には棘があるということなのだろうか。



プリンセスが花に触れば、たちまちその花は枯れてしまう。プリンセスの肩に鳥が止まれば、その鳥はたちまち死んでしまう。人間がプリンセスに触れればどうなってしまうかは、もう言わなくてもわかるはずだろう。



これはプリンセスにかけられた呪いなのだ。美しすぎるあまりに、それなりの代償を払うこととなってしまったのだ。プリンセスは意地悪な神様に嫌われてしまったのだろうか。



人はひとりでは生きていけないというのに何て残酷なのだろう。プリンセスはとても優しく誰かが傷付くぐらいなら自分1人が傷付けば良いと思い部屋に引きこもることを選んだ。


プリンセスの呪いの解き方は未だ謎のままだ。プリンセスは好きな相手がいた。その相手は王子様だ。けれども、王子様を傷つけてしまうからプリンセスはどうすることもできなかった。



それに気付いた王子様は「なんて優しいプリンセスなんだ!そのプリンセスを救いたい。」と好意を持ち、プリンセスの部屋を訪問することにした。



だが、プリンセスは昔から好きな王子様に近付かれても拒んだ。

「私はあなたが好きです。しかし、あなたが私に触れればあなたは死んでしまいます。私はあなたが死んでしまうぐらいなら 自分で死ぬことを選びます。」

プリンセスはそう言った。


すると王子さまは、

「君のためなら僕は死ねるよ。何千何百何十何回でも。でも、残りの最後の1回は 君と笑って過ごして死にたい。だから死ねない。」

そう言うと王子様は強引に口づけをして愛を交わした。



その瞬間に2人にビリビリと電流のようなものが流れた。そして、キスをした瞬間に呪いは解けたのだ。プリンセスは晴れて自由になったのだ。



そして2人はその後に結婚をした。2人の間に子供も産まれた。2人は幸せな家庭を築いた。

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