悲惨な魚屋さん
「クソ! 今日もまた売り物の魚を食われちまっている!」
とある魚屋で事件が起きまくっていた。皆が魚をつまみ食いするもんだから、売る魚がなくなってしまったというのだ。
そこで魚屋である店主はあることを思いついた。
「従業員の皆さん、今から私の言うことをちゃんと聞いてください。魚泥棒を密告した従業員の方には魚をあげます!」
「それって本当ですか!?」
従業員の皆が食い気味に聞いてくる。
「ああ本当だ。ちゃんと犯人を教えてくれたらね」
「やったー!」
なぜかみんな喜んでいる。なんで喜んでるやつが多いんだよ。まあ、とにかくこれで犯人が見つかるんだから良いのか。
店主はとりあえずひと安心して胸をなでおろす。さて、これから犯人を追い出したらどのようにしてやろうかな。色々頭の中で作戦を練っていた。
とりあえずまた頑張って店を立て直すぞー!
「よし、それじゃあみんな」
「はい!」
「魚泥棒が誰なのか教えてくれ!」
「高橋です!」
「佐藤です!」
「田中です!」
「鈴木です!」
従業員が一斉に色んな人間を指差した。
「おいおいおい、ちょっと待て。訳が分からないぞ!」
「だから、こいつです!」
みんなが一斉に色んな人間を指差して犯人と言う。
「高橋、お前だろ! つまみ食いの犯人!」
「佐藤、知ってるぞ! お前だってな!」
「田中、残念ながらクビだぜ! 魚はもらってく!」
「鈴木、お前こそ犯人だ!」
「は?」
魚屋の店主はとても失望した。そしてみんな自分だけは魚をもらおうとワチャワチャしている。
高橋はもちろんつまみ食いした。密告した佐藤もつまみ食いしている。結論から言うとみんな魚を盗んでいた。
「てめぇーがやったんだろ!」
「お前もやってただろう!」
「お前もな!」
「お前らぁ…」
まさか、1人か2人ぐらいだと思ったら従業員みんなやっていたなんて酷く失望した。
一体みんな何を考えて魚泥棒なんてやったのだろうか?
「俺に魚くれますよ!」
「密告しましたよ! こいつ犯人っす!」
「魚は俺のもんだ!」
「ぐぬぬ…。お前ら全員出てけー! 今日で全員まとめてクビだ!」
「えええ!?」
そして魚屋に従業員は誰一人としていなくなってしまった。従業員は誰もいなくなって閑古鳥が鳴いている。
店主は1人店内の中で立ち尽くしていた。
「あー、もう誰も信用することができない…」
魚屋の店主はすっかり人間不信になってしまったのだった。それはそうだ、従業員全員に裏切られていたのだから。
人間不信になってしまうのも無理はなかった。そして魚屋のその後はどうなったかと言うと最終的には潰れてしまったのだった。
店主が従業員を信用出来なくなって雇わなくなった。そして全部一人で何でもやろうとして体を壊してしまったのだ。
そして店を畳まないといけなくなってしまったという訳だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます