人気俳優の裏の顔

 とあるところに男前な俳優がいた。その俳優は優しそうで一般的にはかなり好感度も高かったんだと。

 その人は仕事場ではかなり厳しくて怖かった。これはある日ドラマを撮っている時のことだった。


「よろしくお願いしまーす」

「ふっ…」


 その人にとって気に食わないキャストがいたんだと。そしたら、その俳優は急に激昂した。


「ゴラアアアア!」

「ひいいい!」

「そのおばさん、呼んだ人誰?」

「はい、私です」

「あのさ、呼ばないでくんない? あとババァ来い!」


 だがキャストのおばさんは聞こえていなかった。


「おいババァ聞いてんのか! ちょっと来い!」

「はい」

「ゴラアアアア!」パァン!

「うっ…」


 おばさんが行くとその俳優はおばさんをボコボコにし始めたのだった。理性が抑えきれずに暴走してしまったのだ。

 本来ならこれはかなりやばい事件なのだが闇の勢力とお金ですべて揉み消されたのだった。

 そしてそのキャストのおばあさんは泣き寝入りすることになった。とにかく全て思うがままにそのイケメン俳優が現場を荒らしまくっている。

 スタッフも大変だ。だが彼はめちゃくちゃ人気なので誰も口が出せない。みんな酷い思いをしていた。

 もちろん彼も最初の方はこんなんじゃなかった。


「ちょっと君やる気ある?」

「はい、すいません。もう一度やらせてください!」


 下積み時代の時はとにかくこの厳しい芸能界で生き残るために真面目だった。だが、どんどん人気に火がつくようになってから本性が表れてきた。

 もう彼を止められる人間は誰もいないのだ。しかも彼の背景を調べてみるとかなり黒い噂があった。

 とにかく叩けば叩くほどに埃が出てくる。全てが真っ黒といった感じだ。ただ、やはり彼はかなりお金になる。

 だから誰も本当のことは言わないのだ。いくら悪かろうが、この世の中は全てお金が優先されてしまう。

 お金こそがもっともわかりやすい結果なので、世間一般的には人からもかなり良いと評価されている。

 そしてルックスもめちゃくちゃ良い。だからこそ彼に多くのファンが集まってそれがお金になるのだ。

 彼にやられた女の人は許せていないことだろう。だがしかし、そこも対策されている。


「もし誰かに告げ口でもしてみろ。何をしでかすか分からないぞ」


 釘を刺されて脅されているのだ。消して慰謝料なんて払わない。弱者には厳しいのだ。

 週刊誌にネタを持っていっても闇の力で攻撃されることだろう。実際に誰かが情報流したことがあった。

 だが、口止めの為にお灸をすえられたんだとか。もう二度と口が出せないように完膚なきに黒いスーツを着た人たちがボコボコにしに行ったんだとか。

 とにかく彼に逆らえるやつは誰もいないのだ。彼に逆らうものはこの芸能界では生きていけない。

 そして彼の気に触れるやつも芸能界では生きてはいけないのだ。先ほどのおばさんみたいに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る