汚いお人形さん①

「後は君だけだからね」

「はぁはぁ…」


 他のみんなは人形にされてしまった。後は私だけが最後に残って、悪い人間の洋館の一室で泣いている。

 今から2時間前のことだった。私たちはみんなで公園で遊んでいた。


「今日はみんなで鬼ごっこでもやろっか」

「いいね」


 こんな感じで誰でもよくやるような鬼ごっこをしている時のことだった。


「なんだこれ?」


 公園に誰かの人形が落ちていた。


「なんだこの人形をきったねぇ!」

「遠くに投げて遊ぼうぜ!」


 友達の男の子たちはその汚れた人形を遠くに投げたりして遊んていた。私は止めなきゃと思った。


「そ、そんなことをしたらお人形さんが可哀想だよ!」

「いいじゃん、どうせ元から汚れてるんだしさ!」

「そもそも人形をこんなところに落とすってことはそんなに大事な人形じゃないんだろう?」

「そうだよ」

「で、でも…」


 男の子達はそのままお人形をボールのように投げ飛ばして遊んでいた。


「よし、じゃあ次は俺の番だぞ」


 その時だった。


「君達、今何をしているのかな?」


 知らないおじさんが話しかけてきたのだった。そしておじさんの目にその汚い人形が目に入った。


「その人形、君たちが見つけてくれたのかい ?」

「え、はっ、はぁ…」


さっきまでお人形を投げ飛ばして遊んでいた子達は急にオロオロとし始める。


「そ、そうなんですよ。実は僕たちが人形を拾って今から届けようとしていたところなんですね!」

「それは良かった。君たち本当にありがとう。優しいんだね」


 男の子達はなんとか誤魔化したようだ。


「せっかくだし、良かったら僕の家に来ないかい? お菓子でも食べていきなよ」

「そ、それじゃあ行ってみるか」

「そ、そうだな」


 みんなお腹を空かせていたこともあり、お菓子につられておじさんの家に行くことになった。


「いやいや本当にありがとう。ちょっと待っててね。今すぐにお菓子を用意するから」


 そう言うとおじさんはどこかへと消えていった。そして皆リビングの椅子に座ってお菓子がいつ来るのか待っていた。


「いやー、なんかお腹ペコペコだな」

「早くおやつでも食べたいな」

「そうだね。ちょっと私トイレ行ってくるね早く戻ってこいよー」

「はーい」


 私は急にトイレに行きたくなり、トイレがどこにあるのかおじさんに聞くために家を探し回っていた。


「ぶつぶつぶつ…」

「なんだろう?」


 すると、おじさんが何かぶつぶつと言っている声が聞こえる。私はゆっくりとおじさんがブツブツと何を言っているのか耳を立てて聞くことにした。


「いやいや、これでまた新しい私のコレクションが増えそうだよ」

「え?」


 コレクションとは一体何のことなのだろうか?


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