足ケガするマンの呪い

 足怪我するマンという人間がいた。この人の顔を見ると百発百中でみんな足を怪我する。

 そしてその足怪我するマンの顔がネットで拡散された時だった。世界中で足を怪我する人がたくさん出たらしいのだ。


「おっしゃーみんな遊ぼうぜ!」

「おっ、いいね! 今日は何して遊ぶよ」

「じゃあみんなで足怪我するマンの映像を見ようぜ!」

「でたー! なんか足怪我するって噂のやつっしょ!」

「面白そうだな!」

「決まりだな!」


 みんなで足怪我するマンの顔が出てくる映像を見ていた。


「なんだこれ? 足なんかがするわけねーじゃん!」

「こんなん余裕しょ! 足を怪我する奴が馬鹿だっつーの!」

「ぎゃははは!」


 みんなで楽しそうに足怪我するマンの映像を見ていた。その時だった。


「ぐがああああ!」


 超能力によって足があらぬ方向に突然曲がり始めたのだった。


「おいおい、なんだよこれは!?」

「まずくないか!?」


 どうやら足怪我するマンの呪いにかかったようだ。映像を見ていたやつは全員足を怪我してしまったのだった。


「くそ! あの迷信本当だったのかよ! もうこれじゃあ俺、運動できねえじゃねえか!」

「お前やばくないか!?」

「え?」

「足がドリルみたいにめちゃくちゃ回転してるぞ!?」

「うわー!? このままだと足が千切れちまう! 誰か止めてくれー!」

「でもそうは言ったってよ! 止めようとしても、そんなドリルみたいに回転してたら俺の手が削れちまうぜ!?」


 みんな焦っていて普通の精神状態ではなくなっていた。


「とりあえず、今すぐその足怪我するマンの映像を誰か止めてくれええ!!!!」

「分かった!」


 誰かが足が怪我するマンの動画を止めたのだった。


「あ、危ねぇ…。なんとか足が千切れずに済んだぞ…」

「まさに間一髪って感じだったな。ハハハ…」

「なに笑ってやがる。笑い事じゃねぇだろ」

「でもみんなどうするよ。このままじゃ家には帰れないしなぁ…」

「とりあえず病院行こうぜ」


 とりあえずみんなおとなしく救急車を呼んで病院に連れて行かれようということになった。

 ただ、救急車呼んでも一向に来ない。


「なんで救急車は来ねぇんだよ! 何をしてやがる!」


 なんと病院では足怪我するマンの影響によって足を怪我してしまった人がたくさん運ばれていた。

 そして病院の人達は嘆いていた。


「なんで今日はこんなに足を怪我した人が多いんだ? このままだと病院がパンパンになっちまうじゃねぇか!」

「というより既にパンパンになっています!」

「クソ、なんなんだ! みんな足を怪我するのが最近の流行りなのか? 最近の人間の流行りってのがいまいち分からねぇな」


 病院はとにかくてんやわんやの状態だった 。


「どうやら俺たち、入院することもできなそうだぜ」

「どうするよ」

「とりあえずみんな、足怪我するマンの映像を見るのは絶対に禁止な。これ以上はもう足がどうなっちまあのか分からねぇからよ」


 みんなでため息をついていた。


「とりあえず、みんな足折れてるからよ。絶対に安静にするんだぞ」

「まあ両足がイカれなくてよかったな」

「片方折れてるだけなら歩くのになんとかなるかもしれないな」

「そうだな、でも松葉杖なんてないしどうしたもんかね」

「うーむ」


 悩む高校生たちであった。足怪我するマンの映像はすぐに規制されることとなったのだった。

 この映像はあまりにも危険すぎる。風の噂によると足が完全になくなってしまった人もいるんだとか。

 だが一部の闇サイトではまだ残っているという。


「クックックッ、またすぐに足怪我するマンの映像を流してやるぞぉ…」

「次は手怪我するマンの映像をお願いします…」

「そうだな…。クックックッ…」


 世界の裏側の住人達が何かよからぬことを企んでいた。


「バカな愚民ども、怪我に苦しめ! ハッハッハッ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る