車を汚したくなかっただけなのに
今日は新しい自動車を買ってきたのだった。自分はかなり奮発してお高い車を買ったのだった。
軽く1千万以上はしただろうか。とにかく高級な車を買ったのだ。そのせいでもう貯金はゼロだ。
自分はウキウキな気分になって、買ってすぐにそのまま高級車をドライブすることにした。
高級車で早速ドライブしてみると乗り心地が最高だった。
「ドライブ楽しいね!」
気分も高揚していたので家の周辺でずっとドライブをしていた。その時にラジオ放送で「もうすぐ雨が降ります」という天気予報を聞いたのだった。
「どうしようどうしよう」
自分は焦っていた。せっかく買ったばかりの高級車なので汚い雨に打たれて汚したくはなかったのだった。
ただそうこうしているうちに雨が降る時間がどんどん迫っている。そして今は家よりもちょっと遠い場所でドライブをしていたのだった。
早く家に帰らないと雨が降って高級車が汚れてしまう。自分はどうしても高級車を汚したくなかったのだ。
「くそったれー!」
自分は何を血迷ったのか、全速力で高級車を家に無理矢理突っ込んで雨宿りをした。
「これで一安心だね」
全然一安心でも何でもないのだ。そして程なくして雨が降ってきた。
「なんとかこれで雨に濡れずに済んだ!」
そう思っていたが冷静になってから状況振り返って自分は後悔するのだった。
家と心にぽっかりと穴が開いてしまっていたのだった。
「うわー俺ん家が! まだローンが30年もあるのに!」
そして車は家の壁に衝突した際にボロボロになって、結局雨に打たれて汚れた方がまだマシという結果になってしまった。
車はもう全体的に傷だらけになっていた。そして衝突した際に若干ボンネットが壊れてしまっていたようだった。
「俺の家と車が…。どうしてだよ、どうしてこうなるんだよ!」
そしてその後すぐに雨が上がってしまうのであった。しかし自分の心はまだ雨模様だった。
目と鼻から汚い雨が降っていた。そして空はびっくりするぐらいに晴れてきたのであった。
それから自分が失ったものを一つずつ数えてみる。お金と家と車、この三つの事を考えるとどれだけ働けなければいけないのかとそればかり考えてしまう。
吐き気がしてくる。
「あわわわわわわ」
そして自分はいろんなことを考えすぎて口から泡吹いて倒れてしまうのであった。
そのあと、家も車のことも何も考えたくないということで引きこもりになってしまった。
だが当然お金は払わないと生活していけないので、そのまま家も車も売り払ってホームレスとなってしまうのであった。
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