結婚秒読みの本を拾う
結婚は完全に諦めてしまっている。常に何に対してもやる気が出てこない。そんなある日、自分は変な本を道で拾ったのだった。
「これはなんだ?」
自分は興味本意でその本を開いたのだった。
「こ、これはなんだ!?」
なんと知っている人の名前がずらっと並んでいる本だった。それになんか、その知っている人の横に変な時間が表示されている。
その本はおかしなことに書いてある数字が 動いているのだ。知り合いの隣に表示されている時間がどんどん少なくなっていく。
これは一体どういうことなのだろうか? とりあえずこの本を家に持ち帰ることにした。
「どうにかしてこの表示されている時間が示す意味を理解しなくては。この数字が0になると一体どうなるんだ?」
ご存知の通り自分は友達も何にもいないのだ。ここはお得意のSNSを活用して、その知り合いが今どうなっているのか検索するのだ。
大体リア充というのは SNS で本名で登録しがちだ。なので友達の知り合いの本名を入力して SNS で探す。
まずは時間が0になった人の SNS を探してみることにした。まずは同級生の竹田を検索することにしたのだ。
すると、これまた結構大変で同級生だった竹田を探すのに20時間くらいかかってしまった。
でも自分は時間だけは腐るほどあるので何とか探し当てることが出来た。
「んーと、どれどれ? 僕たち私たちは、結婚しました。は!?」
これでこの本が何を示しているのかが確定してしまった。そうなのだ、この本は結婚するまでの時間を表示する本なのだ。
自分はムカついたのでその知り合いの悪口を書きまくったのだった。
「クソリア充爆発しろ! どうせ結婚してもすぐに別れるよ!」
とこんな感じにストレスを発散したほであった。
「えーっと、次は山田か」
もうすぐで結婚しそうになっていた。結婚を匂わせるようなツイートと本の表示された時間が少なくなっていくことからして間違いない。
なんとか結婚を阻止できねえかなとか考えていたけれど、引きこもりの自分にはそんな行動力はない。
せいぜいインターネットで検索するぐらいしかできない。そして時間はみるみると過ぎて山田も結婚してしまったのだった。
「ああああ!」
まったく関係ないのに深い悲しみに襲われたのであった。
……………………………………
この本を拾ってからどのくらいが経ったのだろうか。5年いや10年は経っただろう。
この本に書かれている知り合いのほとんどの時間が0秒を表示していた。ということはほとんどの同級生がみんな結婚したということだ。
そして最後は自分だけが取り残されてしまった。こんな残酷な真実の書かれている本なんて拾わなければよかった。
この本を拾ってしまったせいで自分は劣等感と疎外感に苛まれていた。そしてこのまま天涯孤独なままで死んでいくのだろうか。
「あー自分のことを 拾ってくれるお金持ちで優しくて可愛くて美人な人間はいないのだろうか?」
もちろんいる訳もないのであった。
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