代理墓参り、高額給料の真相

 とある大学生が金欠だったということもありネットで割の良いバイトがないかと探していた。


「この夏はみんなで山に行ったり海に行ったりしたいからもっと稼がなくちゃなぁ」

 そんな軽い気持ちでネットでバイトを探している時だった。すると、ものすごく金払いの良いバイトがあったのだ。


「なんなんだこれは!?」

 そのバイトの給料をよく見てみるとなかなかの高額だった。普通では考えられないほどの値段を提示していたのだった。

 これはもうやるしかないと思いすぐにそのバイトを受けることにしたのだった。ちなみに肝心な給料はと言うと1回100万円だった。

 普通なら明らかに怪しいのにこの仕事を受けたのだった。肝心のバイトの内容は代理墓参りだ。

 代理で墓参りをするだけでお金がたくさんもらえるんだったらラッキーと思い行ってみることにした。

 その大学生は見事100万円という給料につられてバイトを受けることになった。そして、この後とんでもないことが起こってしまうというのに…。


「よっしゃ、稼いだりますか!」

 大学生の人は早速、代理墓参りをすることになった。指定された場所に行ってみると、どうにも昼間なのに雰囲気の悪い墓場だった。   

 なんていうか全く墓場が手入れされていないのだ。


「ちょっと薄気味悪いけど、給料のためだからしょうがないか…」

 大学生は指定された墓へ向かって行った。


「あなたの家族の代わりに僕が代理でやってきましたよと」

 そんなことを墓に向かって語った。そして墓に一礼して掃除をしようとしていた時だった。


「くっ…るぞ…」

「ん?」

 なんだか人の声が聞こえたような気がした。そしてすぐにまた声が聞こえる。


「食ってやるぞ」

「え…!?」

 食ってやるぞという声がはっきりと聞こえてくる。その瞬間にその大学生は全て理解してしまったのだった。

 この代理墓参りはなぜこんなに高額なのか、そしてなぜ家族たちは墓に行きたがらないのかを。


「カァーカァー!」

 夕方になっていた。その大学生は墓から帰ってくることはなかったのだ。その大学生は生贄となったのだ。

 この村は生贄を捧げることによって繁栄を築いていたのだった。村のしきたりで1年に1度生贄を捧げるのだが、自分達は死にたくないという思いから代理墓参りを高額の給料で釣って、外からやってきた他の人間を生け贄にしたのだった。

 その村は毎年欠かさず人間の生贄を捧げているので怖いくらいに村は繁栄しているだとかいないのだとか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る