雪女の店
今日はものすごく雪が降りしきっていた。雪の影響でどこのお店も閉店していた。
「あーあ、せっかくに外で何か食べようと思っていたのになぁ…」
何て寂しく道を歩いていた。そんな時に一か所だけ明かりがついている店があった。
もしかしたら開いているかもしれないと思って、自分はそのお店に入ってみた。
ガラガラガシャ…
「いらっしゃいませ~!」
店の人が元気よくいらっしゃいませという挨拶を言った。
「すいません、何か温まるものください」
外は寒くて体の芯まで冷えきってしまっていった。自分は1秒でも早く温まりたかった。
「あのー、申し訳ございません…ここのお店は冷たいものしか出していないんですよ…。あはは…」
店の人は申し訳なさそうにそう言った。
「そ、そうですか…」
せっかく開いているお店に入って温かい物を食べれると思ったら冷たい物しかないと言われて気分も下がった。
それに今気付いたけど、この店寒いのだ。
「こんな日にお店を出しているのは、私達雪女ぐらいなものですから」「!?」
これは驚いた。本当に雪女が存在していたとは…。ここは雪女の店らしい。
「冷たい物しかありませんが、ご満足頂けると思いますよ~」
メニューを渡された。たしかに冷たい物しかメニューになかった。
「ふむふむ…じゃあ雪女のアイスクリームってやつを1つください」
「かしこまりました~」
そう言うと雪女と思わしき人は店の奥へと消えた。さてどんな物が来るのか楽しみだ。
数分後…
「お待たせ致しました。雪女のアイスクリームでございます」
「おー!」
アイスクリームがやって来た。普通に美味しそうだ。
「お客様にせめてもと思い、お茶をサービスさせて頂きました。」
湯気が立ったお茶が一緒に用意されていた。
「あ、ありがとうございます!」
この店、超~気が利く!雪女が苦労して熱いお茶を自分のために用意したと思うと可愛くて萌える。
その証拠に雪女の手がちょっとだけ赤くなっているように見えたのだ。
「それではごゆっくり」
雪女店のは奥へと消えていく。
「それじゃ、頂きます」
雪女のアイスクリームを食べた。食べた感想は、今までに食べたことのない不思議なアイスクリームだった。
今まで食べたアイスクリームの中で1番美味しかった。そして熱いお茶を流し込むと口の中でアイスクリームがジュワッと溶けて最高だ。
「はぁ…温まる…」
至福の一時だった。そのあともアイスまんじゅうとかを色々と頼んだ。全部美味しかった。
夏にこの店があったら最高なんだけどな。それでもまあ十分満足のいくものだった。
そのあとお勘定をして、店を出た。
次の日にまた雪女のアイスクリームが食べたくなり、雪女の店を探したがどこにも見つからなかった。
もちろんネットにも雪女の店の情報は載っていなかった。皆さんも雪が降りしきる日は雪女の店に入ってみてはいかがでしょうか。
普段なら見つけづらくてかなりレアなお店ですが、雪の日は明かりもついているので、すぐに見つけられると思います。
もちろん雪女の店に行くときは暖かい格好をして行くように。
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