先祖は見てるぞ
俺の名は、たかし。交通事故で早くに死んでしまった。そして俺はあの世へと旅立っていったのだった。
俺はあの世にたどり着くと先祖たちが腕を組みながら待ち構えていた。そして自分に話しかけてきた。
「お前ちょっと話があるからこっち来なさい」
「は、はい」
自分は先祖たちの話を聞くことにした。一体なんの話をされるのだろうか?
「お前の現世での生活を今まで監視していた」
「は、はぁ…」
「まったくこっちに来るのが早すぎなんだよ。もうちょっと遅れてきても良かっただろうに」
「...」
とまあ、こんな感じでご先祖による長い説教が始まった。
「こっちに来てるお前のばあちゃんとじいちゃんが悲しんでたぞ。まさか酔っぱらって路上で寝て、そのまま車に轢かれるとはなぁ…」
「…」
そうなのだ。俺、酔っぱらって車に轢かれたのだ。
「まったく、情けないやっちゃの~」
「…」
返す言葉がなかった。
「それもこれもお前の日頃の行いが悪いからだぞ。友達の金を借りたままだったり、バイトを無断で休んだり、本当に悪いやつだな」
「…」
そうです。俺は悪いやつです。
「他にも色んなことを監視しとったんだからな~全部分かってるんだぞ~」
「た、たとえば…」
この時、俺は何か悪い予感がした。
全部見ているということは俺が、その、アレしてるところも見てたのかなと…
「そうだな、ワシ実はお前がアレしてるところも見たぞ。しかも至近距離でなぁ」
「…」
はい、俺の人生終了しました。うおー死にてぇー!もう死んでるけどね…
「お前あんなえげつないことをしていたとはな…いくら必要なこととは言え、さすがのわしもドン引きじゃ…」
「…」
うわああああああああああああ!!!!!!!誰かあああああああああああああ!!!!!!!今すぐ俺を殺してくれえええええええええええ!!!!!!!!!
「こっちの世界に生きているお前のじいちゃんもばあちゃんも、みんな知っとるからな。だってみんなで仲良く一緒にお前のアレしているところを至近距離で見てたんだからなぁ」
「…」
自分は恥ずかしくて死にそうだった。
「今頃、家族がお前の遺品整理でお前が机の引き出しに隠していたアレもばれる頃じゃないか?」
「うわあああああああああああ!!!!!!!」
俺は発狂した。その後も先祖が逐一俺が生きていた時の行動を監視していたと暴露されてた。ただただ恥ずかしい思いをしたのだった。俺が恥ずかしさの限界を突破した時だった。
その時、俺の体が白い光に包まれた。
「お前はこっちに来るのが早すぎたんだよ。もうちょっとゆっくりしてこいよ」
「え?」
すると俺は病院のベッドの上で目を覚ました。奇跡的に生きていたらしい。その後、色々あったが無事退院した。
「よっしゃー!俺、ふっかーつ!」
久しぶりに吸った外の空気が美味しかった。
「ところで退院したことだし、アレしようかな」
そんな時に俺の脳内にあるシーンが駆け巡った。
「ワシ実はお前がアレしてるところも見たぞ。しかも至近距離でなぁ」
「…」
俺はアレをすることをやめた。先祖たちが至近距離でアレしてるところを見ているところを見ているかもしれないからだ。
そして俺は真っ当に生きることを決めた。
「これが俺の生きてる証だぜぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
だが一週間後、欲望が我慢できずに俺はアレをした。そしてアレをしている最中に先祖達の顔が頭の中に思い浮かんできて死にたくなった。
「まったく、しょうがないやつじゃのぉ…」
先祖は、たかしのアレをしているところを見て呆れてた。
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