第6話 オルカマン またの名を…
『オルカマン』
こいつはアニメバトルマスターズXX(ツインクロス)で登場したクリーチャーだ。主人公『帝印遊樹』(ていいん ゆうき)のエースクリーチャーである『エレメントヒーロー・レイズ』の仲間の1人として最後まで闘い、その姿は(色んな意味で)人々の心を惹きつけた。
そんな人気キャラクターである彼だが、『漆黒海の闘神オウガ』と同一人物では無いかという説があるのだ。というのも、アニメ中盤で漆黒海の軍勢が実体化し主人公達が暮らしている学園都市を支配しようと侵攻する場面があり、オウガは主人公に敗北した後、行方をくらましてしまうのだ。そして、オルカマンが初登場したのがその3話後。まさに入れ替わりで出てきたのだ。声、体格etc…と共通する点も沢山ある。公式から言及は無く謎のままになっていたが…
〜〜〜〜〜
マスクを外した顔はオウガそのものだったのだ。
「少年、早くマスクを返してくれないか?」
彼は顔を手で覆いながらこちらに鋭い眼光を送っている。
「ああ。勝手に取ってすまなかったな」
俺は恐る恐るマスクを返す。
「いたずらにも程度がある。そのような真似はしないで頂きたい。」
彼の怒りは収まりそうに無い。
「オルカマン。強く当るのは良くないです。勝さんも謝ってるので許してあげたら…」
「主よ、それは不可能だ。」
トレカの言葉は遮られてしまった。
「…取りたくない『理由』があるんだろ?そんなに怒るってことはよ。」
俺はオルカマンに疑問をぶつけた。
「私は『オルカマン』でいたい。それが『理由』だ。」
「あんたは本当の姿を気にしていたんだな。そうとも知らずすまないな。」
「………」
辺りに気まずい空気が立ち込める。
「…ねえ、外に出てみない?」
「ルル、悪いけど今はな…」
「こういう時は場所を変えるのが一番だよ。きっと仲直りできるから!」
仲直り…か。正直オルカマンとは知り合ったばかりで仲直り以前の問題だと思っている。でも、このまま行くのも相当気まずい。
「その話、乗るぜ」
「決まりだね。しゅっぱーつ」
「私は行かないぞ。」
オルカマンは動こうとしない。そりゃそうだよな…
「そう言わずに付いて行きましょう。あの子、どうしてもあなた達を仲直りさせたいようですから。」
「主がいうのなら…ついていこう。」
トレカの説得に逆らえないのかあっさり応じた。
こうして俺たちは店の外に出た。通りは不思議と人通りが多く賑やかだ。
「今日はね、1年に1度のお祭りの日。その名も『ベルチア祭』!この辺だと凄く有名なんだよ。」
「それでこんなに人がいるんだな。」
道行く人々を見ると仮装している人が目立つ。渋谷のハロウィンの様子を思い出させた。
「祭か。申し訳ないが、気が乗らない。帰らして頂こう。」
オルカマンは不満そうに後ろを振り向く。そりゃ俺らと居たくないよな…
「わー!すげー!」
「本物のせんしさまみたい」」
何故か、彼の元に子供達が集まっていた。
「戦士ではない!私は正義のヒーロー。オルカマンだ!」
「かっけー!」 「かっこいいー」
「オルカマン!」 「オルカマン!」
「オルカマン!」 「オルカマン!」
子供達は次々とオルカマンの上に飛び乗っていく。
どうやらこちらの世界では大人気らしい。
俺の認識だと完全にネタキャラ扱いだったのだが、何が彼らを惹きつけたのだろうか?
「あんた達、落ちたら危ないよー。今夜広場にも行くから、それまで遊んでてね。」
「はーい。」 「またねー」
ルルの一声で子供達はどこかに去っていった。
「少女よ。感謝する。子供は好きだがいかんせん多いとね…」
「やっぱり困ってたのね。あなた、戦士様に近い見た目だから寄ってきたんだよ。普段はいい子たちなんだけどね…」
「ほう、戦士様とは?」
「かつてこの地を支配していた魔物を倒した人のことだよ。その名も戦士ベルチア。今日のお祭りはその人を称えるものなんだ。」
「つまり私はその戦士様に似ていたわけだな。」
「そうだよ。丁度あのお店の看板みたいな感じだよ。」
指さした先には観光地にあるような顔出し看板があった。それに描かれていたのは。荘厳な黒の鎧にシャチを模したマスクの筋肉隆々の男。遠目から見るとオルカマンそっくりであった。
「すげぇ。そっくりだ。」
「瓜二つですね。」
「本当に私みたいだな。」
誰も彼もここまでそっくりだと思わなかったようだ。
「私も驚いたよ。本当にそっくりだったんだから。」
「それでね、お祭りの時は戦士様にちなんだ仮装をするのが習わしなんだ。このお店で用意しよう。」
そう言うとルルは店の中に入っていった。
「ふん、私たちをからかっているのか?こんなところで仲直りできるわけないだろう!」
「まあまあ、一回はいって見ましょう。何も見ず決めつけるのはよくないですから」
「主が言うのなら、仕方ない…入るとしよう。」
オルカマンはトレカに諭され、渋々中に入っていった。
あんなことをされてすぐに怒りが消えるわけじゃない。俺はオルカマンと本当に仲直りできるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます