短編小説集 コメディ編

あーく

凄腕のスナイパー

 俺は凄腕のスナイパー。

 殺した数は覚えていない。

 今日も俺のもとに依頼が来た。どうしても許せない奴がいるらしい。


 いつの時代もそうだ。恨み、妬み、嫉み――負の連鎖が殺意となって牙をく。

 こんな世の中はもう飽き飽きだ。

 しかし、だからといってこの仕事を辞めるつもりはない。

 俺は殺し屋だ。感情ならとっくの昔に殺した。


 真夏の夜の中。月明かりが照らす部屋に一人きり。

 ターゲットに狙いを定め、息を殺す。

 次の瞬間――

「パン!!!!」


 一発目は外れた。

 俺としたことが、腕が落ちたな。


 どうやら気づかれたようだ。

 見失う前に急いで次の場所へ移動する。

 慌てているのか、ターゲットはフラフラと逃げ惑っている。

 チャンスは今しかない。

「パン!!!!」


 やったか。

 にやけ面を抑え、血だらけの死体を見下ろす。

 悪く思わないでくれ。これが仕事なんだ。


 今日も安心して眠れそうだ。

 横になって目を閉じる。

 その瞬間、小さな虫が耳元で囁く。

「プ~~~~~~~ン」

「なんだ、またお前か」


 眠れない夜はまだまだ続く。

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