Soulcode(下)
マシロカネミツ
#1 よしてくれよ…
あんたも好きだねぇ。こんなオッサンの話の、
どこが面白いンだよ。…ま、いいや。
あれから、すぐ。ホントすぐのことさ。
そう、1杯やって帰ると、家の前に人影があるんだ
よ。
良く見たら、何年か前に別れた昔のカミさんだっ
た。
別れた理由?…ンなもん聞いて何になる?
実際、忘れたよ。そんなもんは。
俺を見るなり、あいつァ泣き出した。
泣きじゃくって、俺の胸をドンドン叩いた。
訳もわからず、俺ァ、カミさんを家に入れた。
家の前で泣かれたままじゃ、理由聞こうにも、な。
聞きゃあ、ひと月前から、息子が行方不明らしい。
ジェイクっつうんだけどさ。
アイツが産まれた時ゃ、俺達はもう「終わって」
たからな。半分。
そっからしばらくして、離婚。
それ以来、会ってもいねぇし、お互い、手紙すら
出した事もねぇ。
それがどうだい?いきなり現れたかと思ったら
泣きじゃくって、息子が行方不明、って。
「助けて…あなた…」
神様…アタシにどうしろってんですかい?
とりあえず、中に入れ、な?
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