【連載】地味女子の私が女の子の日にイライラしてたらなぜか百合ハーレムが出来上がっていたのだが?

海夏世もみじ(カエデウマ)

第1話 [前兆]

「私は高校デビューに失敗していない。むしろ成功だ」


 登校途中一人でそんなことを呟いている一人の女子がいた。


 私こと——百合園 文乃ゆりぞの ふみのだ。

 私はつい先月高校に入学し、見事なぼっちとなった。

 理由はもちろんわかっている。それは見た目だ。

 髪の毛は三つ編みにしており茶髪。まあ普通だろう。

 そして他人から絶対に見えないような丸メガネをかけているからだ。

 それにいつも教室の隅で読書をしているから見事なまでにぼっちになったのだろう。


 うんうんと一人で納得しているうちに高校へついた。

 下駄箱で上履きに履き替え、自分の教室へと向かった。

 ドアを開けると一瞬クラスメイトがこちらを見たが、すぐにこちらを見るのをやめた。


「ふぅ……」


 自分の席へ着くと私は腕を枕にし、寝たふりをした。


 今日はなんだかだるいし、お腹も痛かったりするからだ。


(これはあれだな……の前触れだ……)


 まあ……言っちゃえば“女の子の日”の前兆だろう……。

 あれだるくてイライラして嫌なんだよなぁ。


「キャハハハ!」

「なにそれ受ける〜」

「マジ〜?」


 陽キャどもめ……結構耳に響くんだよ……。


 このクラスの中心人物と言っても過言ではない人物、——“美澄 華織みすみ かおり”。

 髪は赤髪でポニーテール。目の色は茶色。いつも明るく、喧嘩強くてカッコいいことから女子からの支持が結構あるらしい。


 ま、私はたまにからかわれたりするぐらいだから関わりのない人種だ。


「お前ら席つけー」


 先生がきたのでみんなは各々の席へ着き、先生の話を聞いた。

 その後は普通に授業が始まり、弁当の時間となった。


(ぐ……腹痛い……。ちょっとトイレ……)


 一旦トイレへ駆け込み、痛みが少し治ったら弁当を持って屋上へと向かった。

 屋上は本当ならば入れないのだが鍵がぶっ壊れていたのでこっそりと入ることができるのだ。


「さて、いただきます」


 屋上のフェンスにもたれかかり、私は弁当を食べ始めた。


「よければこれ差し上げますわ」

「あらいいの?」

「見事ですね」


「むむ?」


 何やらしたから声が聞こえたのでのぞいて見ることに。

 するとザ・令嬢という集団が庭で弁当を食べていた。


「確かあれは……——“海宝 雫かいほう しずく”だっけ?」


 一番真ん中にいる人物だ。

 髪は真っ白で目は宝石のように赤い。いわゆる“アルビノ”というものらしい。

 その見た目でかなり人気があり、もらったラブレターの数は数え切れないほど。

 しかも超金持ちで家が馬鹿でかかったり、毎日車で登校したりなどなど……。

 性格もいいのでついたあだ名は“聖女”。


「あれも私と関わるような人種ではないな」


 私は残っている弁当を食べ、そのまま教室へ帰った。



〜〜



「じゃあ気をつけて帰れよー」


 やっとだ……やっと授業が全て終わった……。

 こちとらめっちゃ腹痛いしだるいし色々と限界だ……。


 私はパパッとバッグに教科書を詰め込んで教室を出た。

 教室を出ると、違うクラスからで女子が走っていた。その女子はショートボブで、馬鹿みたいにでかい胸の持ち主であった。

 確か名前は——“東雲 真雪しののめ まゆき”。


 噂で聞いたことがある。この高校一の巨乳が図書委員にいると。

 男子ども「挟まれたい」だの「揉んでみたい」などとほざいていたのを嫌でも聞こえてきたのだ。


(……あの子は図書委員か……)


 ワンチャン関わり合いがありそうだが、高校ではぼっちになると決めていたのでやっぱりないな、うん。


 私はそのまま家に帰った。


「ただいまー」

「お帰りー、手洗っちゃいなさいよー」


 家に帰ると私のお母さんの声が家のなからから聞こえてきた。

 私は言われた通り手を洗い、そのまま自分の部屋へ戻りベッドに転がった。


「あー……。今日は勉強いいかなぁ……だるいし……」


 私はそんなことを呟きながら目を閉じて、そのまま意識を手放した。

 晩御飯前にはお母さんに起こされ、ご飯を食べ、風呂に入ってそのまま再び眠った。

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